その叱り方、子どもに伝わってますか?
「何やっているの!」「ダメじゃないの!」という叱り言葉。これだけでは、子どもはなぜ叱られているのかがわかりません。子どもの心に伝わるのはどんな言葉なのでしょうか。
※本稿は『PHPのびのび子育て』2017年1月号に掲載されたものを一部抜粋・編集したものです。
波多野ミキ(はたの・みき/波多野ファミリスクール副理事長・カウンセラー)
一般財団法人波多野ファミリスクール理事長。早稲田大学文学部仏文専修、東洋大学文学部教育学科卒業。「母親は子どもにとって最初の先生」という立場から子育て、しつけを提唱。著書に、『子どもが一週間で変わる親の「この一言」』(三笠書房)など多数。
どうして叱られているのか子どもがわからないのはなぜか
お母さんは、どうしても悪いところばかりが目についてしまい、着替えが遅いと「早くしなさい」、食べこぼしには「ダメじゃないの」など、子どもは1日のうちに何度も、同じ言葉で叱られます。
お母さんは「善悪の区別がつくように」という親心から叱っていますが、子どもは「ダメじゃないの」と言われても、何がダメなのか、なぜ叱られているのか、わからないのです。
特に男の子は、若い女性の話し声が聞き取りづらいという特性があり、「わからない」にますます拍車がかかります。さらに、同じ言葉や声の調子で叱られていると、慣れてしまい、子どもに響かなくなります。
(1)子どもに伝わる言葉でわかりやすく叱る
子どもを叱るときには、「筋道を立てて、わかりやすく伝えながら叱る」ということが重要です。
たとえば、子どもがいけないことや危険なことをしたとき、ただ「ダメ」と言うのではなく、「みんなの迷惑になるからやめようね」「危ないからやめてね」と理由を言えば、子どもも理解できます。
また、長い時間をかけて言い聞かせるのも逆効果です。そんなに長くは、子どもは聞くことに集中できないのです。くどくど言わず、簡潔に叱りましょう。過去のことまで持ち出して「昨日もそうだったし、そういえばこの間も…」と叱っても子どもの心には届きません。
(2)愛情をもってほめながら叱る
昔から「七つほめて、三つ叱れ」と言われています。叱るよりもほめる回数を多くするのが子育てのポイントで、やむをえず叱るときは、子どものやる気を削ぐような言葉かけに注意します。「だから言ったでしょ」「グズグズしないの」「何度言ったらわかるの」「ダメな子」などの言葉は使わないようにします。
むしろ子どもの良い面に目を向け、良いことをしたら「○○ちゃん、よくできたね」とほめてあげます。子どもは「やればできるんだ」と自信がつき、苦手なことも克服できるようになります。そして、ほめられることが多くなると、自然と叱られる回数が減ってきます。
(3)子どもを叱る意味
頭ごなしに親の感情をぶつけるのは、「叱る」ではなく「怒る」です。「怒る」のでは、親の思いは子どもに伝わりません。一方「叱る」とは、子どものことを考えたうえでの、冷静な行為のことをいいます。