コーチには言えない…親が気づいてほしい”スポーツをする子”の「危険信号」

田崎篤
 

これが大事「本人が安心できるような根拠をもって休むこと」

疲労骨折やそのほかのケガと同じく、オーバートレーニング症候群も、いちばんの治療は1休むことです。ただし、「休む」というのはどうも聞こえが悪いですよね。なんだかサボっているようにも聞こえかねません。

よって周りのおとなが強いるがごとく無責任に休むように指示することは、子どもを逆に追い込むことになります。信頼できる医師やトレーナー、顧問の先生の理解と説明のもとで、「本人が安心できるような根拠をもって休むこと」が大事だというのが私の考えです。

我々が部活をしていた昔は「1日筋トレを休むと取り戻すのに2日かかる」などといわれていました。これは休むことを受け入れ難くするウソであり、スポーツ医学では、すでに否定されています。

1回の運動でからだを十分に鍛え追い込んでいる選手は、1週間くらい休んでも、競技能力や体力が一気に落ちるなどということはありません。

逆に1週間休んだ後に元気になってエネルギーに満ち溢れ、パフォーマンスが上がった例などもたくさん見てきました。

医学的な根拠を示しつつ、その先にある目的を明確にして1週間ほどの単位で見通しを立てて休むこと。そういう「根拠と目的をもって休むこと」が、ケガや疲労からの回復への最短距離だと考えています。

 

「休み」を子どもにとって次の飛躍につなげる

スポーツ専門医として多くの子を診察してきて思うのは、スポーツを頑張るなら、勉強も同じくらい頑張ることを忘れないでほしい、ということです。

スポーツに関する本で、なぜ勉強の話をするのかと疑問をお持ちになるかもしれませんが、シンプルに、自らを鍛錬し、成長させ、未来に対して多くの可能性を見出していく点では、スポーツも勉強も同じであり、切り離せるものではないと思うからです。

ですから、治療を受けに私のところへ来て、しばらくスポーツを制限せざるを得ない子には、「安静によって余った体力と時間は勉強に充てよう」と伝えています。少なくともチームメイトが部活で練習している時間と同じ時間は勉強しよう、できるはずだ、と。

それが実践できれば、治療期間は、ケガが治り、なおかつ成績も上がる有意義な時間になるからです。子どもにとって次の飛躍につながる、大きな自信となるでしょう。

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