子どもの将来を左右する「能力」は親の言葉で伸びる

榎本博明
2023.10.13 16:09 2023.02.15 17:38

子どもを慰める親

例「そんなに落ち込むことないよ。つぎに同じ失敗をしないように気をつければいいんだよ」
例「失敗は成功の母っていう言葉、知ってる? 失敗することで成長できるんだよ」

共感性が乏しく、無神経なことをいったり、思いやりのある行動がとれなかったりする子もいます。そこで大事なのは、親が共感性を発揮し、思いやりのある言葉を発したり、思いやりのある行動をとったりするモデルになること。そして、共感性を刺激し、思いやりの心を促すような「言葉がけ」をすることです。

例「あなたがそんなふうにいわれたら、どんな気持ちになる?」
例「そんなときは『大丈夫?』っていってもらえると、誰でも嬉しいよね」

周囲の友達に適度に合わせて協調的な行動をとれる子もいれば、周囲に合わせることができずに、わがままを貫こうとする子もいます。そこで大事なのは、親がわがままな言動を控え、協調的に振る舞うモデルになること。そして、わがままを抑え、協調的な行動を促すような「言葉がけ」をすることです。

例「わがままなことをいう子がいると、みんな困っちゃうよね」
例「自分勝手な子とは、あまり遊びたくないよね」

じっくり落ち着いて考えずに衝動的に行動する子もいます。そこで大事なのは、親がじっくり落ち着いて考えてから行動するモデルになること。そして、じっくり落ち着いて考えてから行動するように促すような「言葉がけ」をすることです。

例「よーく考えてみようね」
例「ほんとにこれでいいかな? って、じっくり考えてから決めたほうが、後悔しないですむよ」

このように、日頃の親の姿勢や何げない言葉が、子どもの非認知能力の基礎になることを肝に銘じておきましょう。

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子どもが伸びる 親のことば 《非認知能力》と《認知能力》を高める秘訣(河出書房新社)
子どもの非認知能力を育むために、親はどんな「言葉がけ」をするべき? 豊かで幸せな人生へと導く子育てアドバイス!

榎本博明

榎本博明

1955年生まれ。東京大学教育心理学科卒。東芝市場調査課勤務の後、東京都立大学大学院心理学専攻博士課程中退。カリフォルニア大学客員研究員、大阪大学大学院助教授等を経て、現在、MP人間科学研究所代表。主な著書に、『伸びる子どもは○○がすごい』『勉強できる子は○○がすごい』(以上、日経プレミアシリーズ)、『教育現場は困ってる』(平凡社新書)、『〈自分らしさ〉って何だろう?』『「さみしさ」の力』(以上、ちくまプリマ―新書)『「やさしさ」過剰社会』(PHP新書)などがある。