子どもを怒りすぎて自己嫌悪~子育て処方箋

東ちひろ

子育てと怒りの感情には、密接な関係があります。ガミガミ怒るのは、子どものココロ貯金を目減りさせてしまうので、少ないに越したことはありません。
しかし、子どもを産んでから過去に一回もガミガミと怒ったことがないというお母さんは、きっとひとりもいないでしょう。世のなかの親は、大なり小なり、怒りながら子どもを育てています。

※本稿は、東ちひろ著『子どもが「甘えていいとき・悪いとき」』(PHP研究所)の中から、一部を抜粋・編集したものです。

東ちひろ(ひがし・ちひろ/一般社団法人子育て心理学協会 代表理事)
幼稚園・小学校教員、中学校相談員、教育委員会勤務を経て、「東ちひろマザーズセラピー」を主宰。その後「子育て心理学協会」を立ち上げ、代表理事を務める。社会人(女)・社会人(男)の二児の母。教育に携わって30年、今まで相談を受けた子ども・保護者・学校の先生の数は、2万件以上、改善率93%、学校復帰率75%。著書多数。
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イライラは親の心に原因がある?

ガミガミ怒ってしまうのは、子どもが怒られるようなことをするからだと思っていませんか。

実は、不必要に怒りすぎるのは、子どもの状態以上にお母さんの心の状態が関係しているのです。

たとえば、毎朝子どもが登校班の集合時間に遅れてしまうとしましょう。そんな子どもにイライラしてしまうのは、単に子どもの出発が遅いからだけではなく、お母さんがご近所の手前を気にしているからでもあります。

お母さん自身が恥ずかしい、ご近所に迷惑をかけている、いつも集合時間に遅れる子どもの親だと思われたくない、もっと小さい子どものほうが早く集合していてみっともない……など、自分の評価とかかわっていると思うと、腹が立つわけです。

また、時間に追われて苛立っているときほど、子どもがのんびりモードだと、さらにイライラしてしまいます。子どもの気になる行動が、お母さんの心の不安定さを増幅させているわけです。

ですので、怒りを感じたらまず、「なぜ怒りを感じるのか」「今、心は何を感じているのか。怒りか、苛立ちか、恥ずかしさか…」などと自分自身に問いかけてみましょう。それから、子どもへの対応策を考えます。

前者のような、登校班の集合時間に遅れる子どもは、たとえいちばん最後に集合するとしても、30分も1時間も大幅に遅れることはありません。学校に遅刻しない程度の頃合いを見て、遅めに集合しています。

だから、怒るのではなく、「そろそろ7時20分だよ(具体的な時間を言う)大丈夫? 間に合う?」とその都度声をかけてください。

お母さんではなく、他の子どもに「遅いよ」と言って迎えに来てもらうのもいいでしょう。全部のことをお母さんがやろうと思うと、結果的に怒りすぎてしまいます。

後者のようにお母さん自身が時間に追われ過ぎているのであれば、お母さんが抱える仕事量が多いとも言えます。自分が忙しすぎると子どもを怒ってしまいますから、人に手伝ってもらったり、上手に家事の手抜きをしたり、あえてやらないことを作ったりして、上手にやりくりしてください。

それでも怒りすぎてしまったときは、どうかお母さんも、子どもへ謝ってください。「言い過ぎてごめん」ってね。そうすると、子どもは「親も完壁ではないんだ」と知りますし、よくないことをしたとき、世のなかには謝るという手段があるんだということを知ります。

子どもがいけないことをしたときに初めて「謝りなさい」と言うよりも、ずっと効果的に謝るという方法を教えられます。

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