子育てで目指せばいいたったひとつのこと

須賀義一

「かわいい子ども」と「できる子ども」


しかし、いま子育てをしている多くの人が「かわいい子」にすることよりも、「できる子」を目指して子育てしているようです。

「かわいい子」の対になっているのが「できる子」です。

「かわいい子どもにする」というのは、「できる子を目指さなくたっていいんですよ」とも言えると僕は考えています。

子どもが育ちのなかで身につけていく「できること」は、「かわいい子」にしてあたたかく見守ってさえいれば、たいていのことがその子のペースではあるけれども、周囲の子どもを見たり、自分で経験したりしながら自然と身につけていくものです。

「できること」とは、例えば、「卒乳」や「おむつがはずれる」「食べ物の好き嫌いがなくなる」「人にあいさつができる」「大人の話が聞ける」「生活で必要なことをやろうとする」「友達とうまく遊べる」「モノを貸すことができる」などなど、大人が子どもにできるようになってほしいと望むたくさんのことです。

将来的には、「勉強する」ことなどもそこに含まれてくるでしょう。多くの人が、子育てを「子どもになにかを身につけさせる」=「できることを増やす」と考えて子どもに関わっています。

「できる」を目指してしまうと、子どもに「正しいことをさせる」「間違ったことをさせない」と大人は考えてしまうので、どんどん過干渉になっていきます。

また、子どもが自分の力でそれをやれるまで、やろうとするまで、待ってあげることができなくなります。

それが大きく積み重ねられてしまうと、子育て全体が「子どもの管理・支配」になってしまうのです。それがさらに、「子どもを従わせなければ」という意識を大人に持たせてしまうし、子どもが反発したらそれを押さえつけなければと、叱ることや怒ることが増えていってしまいます。

そして、「できるべき」と大人が考えていることを、目の前の子どもができなければ、それだけでイライラした気持ちになります。これで毎日の子育てを続けていくのは、しんどく疲れるばかりです。


保育士おとーちゃんの「叱らなくていい子育て」 (PHP文庫)
お母さんたちに大人気のブログ『保育士おとーちゃんの育児日記』の著者が、子育てを単純に、楽しく変えるための具体的な方法を紹介。