親が笑うとなぜ「頭がよく性格がいい子」に育つのか?

陰山英男
2023.10.13 16:22 2023.02.17 14:33

*続ける力 最後までやりとげられるようになる

鍵盤を弾く子ども

心配しすぎるお母さんは、「そんなやり方はダメ」などと口や手を出してしまいがち。子どもが自分の力で続け、やりとげる達成感を奪ってしまいます。こうしたお母さんのもとで育った子どもは、発想力に乏しく、少しひねった問題を出すと解けないことが多いのです。

反対にお母さんが笑顔で大らかに見守っていると、子どもは安心して物事に向き合えます。途中でうまくいかなくても不安にならず、試行錯誤し、自分のやり方で続けることができるのです。

*楽しむ力 自分の好きなことに没頭できる

ある一流アスリートのお母さんは、試合後、結果は聞かず、満足のいくプレーができたか、楽しめたかどうかを、まず明るく尋ねるそうです。お母さんがそのようにゆったりとした気持ちでかまえていれば、子どもは「うまくやらなくちゃ」「失敗したら怒られる」というようなプレッシャーを感じないで済みます。

勉強やスポーツなど、何事に対しても楽しみながら取り組むことができるのです。また、人の失敗に対しても寛容な気持ちをもてるようになり、相手を思いやる気持ちも育ちます。

笑顔で子育てするために 子どもを3つの視点で見守ろう!

次の3つの点を普段から心がけて実践するとお母さんの心がラクになり、親子でたくさん笑い合えるようになります。

*今の幸せ、自分の幸せに目を向ける

将来のためと、「今、つらくても頑張りなさい」と鬼気迫る表情で、子どもに勉強や習い事をさせるお母さんがいます。でも、子どもに将来幸せな人生を送ってほしいなら、今、幼児期に、子どもが楽しい、幸せだと感じられる時間を重ねることが大事です。

幸せが何かをわかっていなければ、大人になっても幸せを手に入れることはできないからです。また、お母さん自身が幸せでないと、子どもも幸せを感じられません。あなた自身が幸せだと思える生き方をしていきましょう。

*世間体に振り回されない

世間の目を気にしすぎると、圧迫感、ストレスを感じます。みんなと違うことを恐れ、人と同じでないと不安になってしまうのです。また、他の子と比較して、勝った負けたばかりを気にしていると、際限なく競争する対象を捜すようになります。

正解のない子育てだからこそ、「うちはうち」というブレない「子育て軸」をもちましょう。そして、他の子と比べずに、「昨日より1回多くできた」など、子ども自身の小さな成長に目を向けましょう。そうすると、子どもが何かを頑張ったときに、結果ではなく、子どもが納得できたか、満足できたかで、ほめられるようになります。

*親バカでいい

子どもが頑張ったとき、誰かに優しくしたときなどには、お母さんは周りをはばかることなく「〇〇ちゃん、最高~!!」「お母さんとっても嬉しい!!」そんなふうに、思いきり笑顔で喜んであげましょう。子どもができたことを単純に喜ぶ、それだけで子どもは安心し、愛されていると実感します。親子なら言わなくても愛情は伝わる、というのは思い込みです。表情、言葉でどんどん伝えましょう。親バカでいいのです。

どんなときも親は自分を受けとめてくれる、愛してくれる、味方でいてくれる、子どもがそう実感できることこそが何よりも大事なのです。

陰山英男

陰山英男

1958年兵庫県生まれ。岡山大学法学部卒。兵庫県朝来町立(現朝来市立)山口小学校教師時代から、反復学習や規則正しい生活習慣の定着で基礎学力の向上を目指す「隂山メソッド」を確立し、脚光を浴びる。
2003年4月尾道市立土堂小学校校長に全国公募により就任。百ます計算や漢字練習の反復学習を続け基礎学力の向上に取り組む一方、そろばん指導やICT機器の活用など新旧を問わず積極的に導入する教育法によって子どもたちの学力向上を実現している。過去、文部科学省中央教育審議会教育課程部会委員、内閣官房教育再生会議委員、大阪府教育委員会委員長などを歴任。2006年4月から2016年まで、立命館大学教授。現在、陰山ラボ代表。陰山メソッド普及のため教育クリエイターとして活躍し、講演会等を実施するほか、全国各地で教育アドバイザーなどにも就任、子どもたちの学力向上に成果をあげている。