「わがまま」に効く魔法の言葉

波多野ミキ

わがままには意味がある


大人から見ると”わがまま”でも、子どもにとっては“自分のしたいことを伝える練習”なのかもしれません。

経験が少なく、考えることも幼い子どもは、その場での思いつきや感じたこと、欲望だけで動くことが多いものです。大人から見ると、「わがまま」とうつることも、子どもにとっては、今、したいことをただ言っただけなのです。

だから、デパートのおもちゃ売り場で見たおもちゃを「買って、買って」と騒いでも、そこを離れて、おもちゃが見えなくなれば、けろっと忘れてしまうものです。

電車の中やレストランで騒いだり、歩きまわるのだって、単に退屈だからです。お気に入りのミニカーや本があれば、それで十分におとなしく遊べます。つまり、騒いだり泣いたりするのは、必ずしもわがままだからとは言えないのです。

ゆっくり根気よく“がまん”の力を育てましょう

もう1つ、小さい子は、がまんのしつけがまだ十分にされていません。自分の欲望や感情や衝動をおさえる自己抑止力は、親にしつけられたり、友だちと遊んだりする経験をたくさん積んで、長い時間をかけて、子ども自身が自分で育てていくものなのです。

「おもちゃ買って」と騒がれた時、「うるさくて周囲の目が気になるから」とか「たいした金額ではないから」などと、子どもの要求に負けていては、この自己抑止力は育ちません。

行動が早くできないのも、親をイライラさせるためにやっているのではありません。経験不足なだけです。わがままだとか、のろいなどと思わないで、根気よく教えていってください。

「わがまま4」の言い分


先ほど登場したわがまま4人組。彼らが自分勝手なのは成長の途中だからです。

(1)お菓子を「買って買って」が止まらないユウキ君
幼児は瞬間、瞬間で生きています。目の前におもちゃがあれば、家に同じようなものがあってもほしくなります。ですから、「買って」と言うのは当たり前です。

(2)「早くしなさい」と言ってもノロノロとマイペースなアイちゃん
小さい子は手先の発達がまだ未成熟ですし、考えることも幼いのです。頭で考えたことを手足に伝える機能も十分発達していません。経験も少ないので、何をやっても遅いのは当たり前です。

(3)電車の中で、じっとしていられず、大声を出したり、歩きまわったりするレイ君
子どもの脳も体も絶えず活発に活動しています。何もしないで、じっと座っていられる子がいたら、そのほうが問題です。ですからじっと座っていなさいと言うほうが無理なのです。

(4)おけいこごとをしたいと言うから習わせたのに、すぐに行きたくないとダダをこねるミカちゃん
子どもというのは、深く考えないで、その場での思いつきで動くもの。お友だちがやっているとか、ちょっと楽しそうだなと思ったら、「やってみたい」と言うのは当たり前なのです。