わがまま、ダラダラに効く「子どもの叱り方」

波多野ミキ
2023.10.13 16:29 2023.02.20 23:05

ズバッと狙うコントロール

泣く子

「叱りのストライクゾーン」を決めましょう。子どもは、親にほめられたり叱られたりすることによって、「していいこと」と「してはいけないこと」を学んでいきます。

ですから、親のほうで、「叱る基準」をもっている必要があります。同じことをしても、昨日は叱られなかったのに、今日は叱られたというのでは、子どもは迷ってしまいます。それではいいしつけが定着しません。

お父さんとお母さんの叱る基準をだいたい統一させておくことも大切です。お母さんは叱るのに、お父さんは叱らないというのでは、上手なしつけはできませんし、叱らないほうの親を甘く見るということにもなってしまいます。

もう1つ、なぜそれをしてはいけないのかを、子どもに理解しやすいことばで説明し、納得させることも大切です。なぜ叱られたのかわからなかったら、また同じことをくり返してしまうことになるからです。

ビシッと届く速球

食べない子ども
「ママは怒ると怖いんだ」という親の威厳を見せるのです。一度、いけないと言ったら、最後まで貫きとおす姿勢も必要です。はじめはダメと言ったのに、うるさいからとか、面倒だからと許してしまえば、泣いたり騒いだりすれば、言うことが通ると、子どもは学習してしまうのです。

例えば、レストランに食事に行ったとき、子どもが騒いだときには、「ここはみんなが楽しくお食事をするところよ。騒いだら他の人に迷惑だから静かにしましょう」と言いきかせます。

また騒いだら、トイレか外へ連れ出して、もう一度言いきかせ、「今度騒いだら帰りますよ」としっかり伝えます。そして、それでももしまた騒いだら、「約束が守れないなら帰ります」と、食事の途中であろうと、会計をすませて、ほんとうに帰るのです。

こうすることで、「お母さんが言ったことはほんとうなんだ」と、子どもにしっかり教えることができるのです。いつものお母さんはやさしいけれど、本気になったら怖いのだということを。これがしつけです。

ググッと曲がる変化球

頬をつく子ども
「叱られ慣れ」を防止するのです。毎日毎日、同じような叱り方ばかりしていると、子どもは慣れてしまって、効果がないということもあります。そんなときは、少し改まったやり方をしてみてください。

「ここに座りなさい」と、正面に座らせ、目と目を合わせて、静かに言いきかせてみます。これは、大声でどなるより、はるかに効果があります。いつものお母さんとは違うと思わせることで、本気なのだ、たいへんだと気づかせられるからです。

その時、肩に両手をかけて、スキンシップも一緒にすると、もっといいかもしれません。体と体がふれ合うことによって、お母さんの心、愛情が伝わっていくからです。

約束を守れなかったときなどは、たった一言「○○ちゃん」と静かに呼びかけるだけでも十分効果があります。子どもが感情的になっているとき、親のほうも感情のまま怒ると、感情と感情がぶつかり合うだけで、何の解決にもならないからです。

波多野ミキ

波多野ミキ

一般財団法人波多野ファミリスクール理事長。早稲田大学文学部仏文専修、東洋大学文学部教育学科卒業。「母親は子どもにとって最初の先生」という立場から子育て、しつけを提唱。著書に、『子どもが一週間で変わる親の「この一言」』(三笠書房)など多数。