子どもをガマンさせる時、受け止める時

波多野ミキ

「こんなに小さなことで」と思うことに、子どもが暴れたり、めげたりすることはありませんか。その理由について考えてみましょう。

※本稿は『PHPのびのび子育て』2011年3月号に掲載されたものを一部抜粋・編集したものです。

波多野ミキ(はたの・みき/波多野ファミリスクール副理事長・カウンセラー)
1934年生まれ。早稲田大学文学部仏文専修、東洋大学文学部教育学科卒業。東京家庭裁判所家事調停委員を20年間務める。現在、財団法人波多野ファミリースクール理事長 同カウンセラー。「母親は子どもにとって最初の先生」であるという立場からの、子育て しつけを提唱。波多野ファミリースクールで、お母さんの子育ての相談も行っている。

なぜ「ガマンできない子」が増えているの?

人間は本来、自己抑制力をもっています。そのガマンする気持ちは、毎日の生活の中で小さなガマンを少しずつしていくことから育っていきます。私たちの生活の中には、やりたくないけれどやらなくてはならないこと、やりたいけれどやってはいけないことがたくさんあります。

やりたくないけれどがんばってやる、やりたいけれど一生懸命ガマンする、この繰り返しです。つまり、しつけというのは、罰を与えることではなく、自分の中にきがってくる欲望や衝動を、いかに上手にコントロールするか、その仕方を身につけさせることなのです。

最近、些細なこともガマンできない子が増えてきているようですが、それには考えられる理由がいくつかあります。ここではその中から3点挙げてみたいと思います。

理由1.物が豊かになりすぎている


長い人類の歴史は飢えとの戦いでした。私たち日本人が飢えから解放されたのは、ほんの数十年前です。世の中が貧しかった時代には、ガマンのしつけは簡単にできました。

しかし、物があふれている今、ガマンをしつけるのは難しくなってきました。だからこそ、親は意識してガマンすることを教えていかなければならないのです。

小さいときには小さいガマンが必要です。「もっと遊んでいたいけれど、寝る時間だから遊びをやめよう」「おもちゃを買ってもらいたいけれど、お誕生日(クリスマス)まで待っていよう」「おかしが食べたいけれど、おやつの時間までガマンしよう」。

こうしたことの積み重ねによって、子どもは「したいけれど、してはいけないからやめよう」という行動がとれるようになっていくのです。欲望と抑制のバランスを上手にとれるようになることが大切です。