泣くはただのイヤイヤじゃない? モンテッソーリが大切にする「子どもの観察」

神成美輝,百枝義雄(監修)

子どものイヤイヤに悩まされている子育て中のパパやママに知ってほしいことがあります。「モンテッソーリ教育」ではそういった「敏感期」は子どもの成長にすごく大切な時期にだとされているということです。

モンテッソーリとは、イタリアの医師であり教育家のマリア・モンテッソーリ博士が考案した教育メソッドです。

将棋棋士の藤井聡太さんも受けていたという「モンテッソーリ教育」では、幼児期に現れる一見わがままに感じられる行動にこそ、子どもが大きく伸びるチャンスが隠されているといいます。

本記事ではモンテッソーリ育児アドバイザーの神成美輝氏が大事な「敏感期」について、親がどのように対応すればいいかを説明した一節を紹介します。

※ 本稿は、神成美輝著『モンテッソーリ流「才能がぐんぐん伸びる男の子」の育て方』(日本実業出版社)より、一部抜粋・編集したものです。

(著者)神成美輝(かんなり みき)
モンテッソーリ育児アドバイザー。保育士、幼稚園教諭2種。
(監修者)百枝 義雄(ももえだ よしお)
吉祥寺こどもの家園長。モンテッソーリ・ラ・パーチェ トレーニングコース代表。

わがままは「成長のあかし」

敏感期に親が困るのは、それが親の目には「わがまま」と映るからです。

後ほど詳く説明するように、この時期の子どもは、おもちゃを人に貸すことかができません。

これは所有にこだわることで「所有の概念」を育てているからなのですが、敏感期を知らなければ、「お友だちにおもちゃを貸しなさない!」と怒ってしまうことでしょう。

しかし、子どもにしてみれば、「所有という概念を身につけるために(ある目的のために)、0歳〜6歳頃(ある時にだけ)、ものと所有者という秩序に対して(何かに対して)、敏感になる(非常に強く反応する)」、という発達の段階を踏んでいるに過ぎません。

実際に「お友だちにおもちゃを貸せない」という段階は、すべての子どもが経る成長の過程です。これが敏感期が本能であるといわれる所以でもあります。

もしお子さんがおもちゃを貸せない時期になったら、「所有の概念が育っている」と思えばいいだけ。間違っても「わがまま」「自分勝手」などの人格を否定するようなレッテルを貼ってはいけません。