イヤイヤ期はチャンス! “子どもの才能”をぐんっと伸ばす「親のひとこと」

神成美輝,百枝義雄(監修)
2023.10.18 14:37 2023.02.23 12:00

遊ぶ子

「友達におもちゃを貸せない」「お片づけができない」など、イヤイヤ期の子どもとの関わり方がわからず、つい叱ってばかりになってしまうパパやママも少なくないはず。
モンテッソーリ育児アドバイザーの神成美輝氏は、「子どものこだわりを否定するのではなく、イヤの背後にある理由を知ることで子どもの能力はどんどん伸びていく」と指摘します。

将棋棋士の藤井聡太竜王が学んでいたことでも注目された「モンテッソーリ教育」をベースに、子どもの自立心や才能を育てる声掛けや関わり方について紹介します。

※ 本稿は、神成美輝著『モンテッソーリ流「才能がぐんぐん伸びる男の子」の育て方』(日本実業出版社)より、一部抜粋・編集したものです。

(著者)神成美輝(かんなり みき)
モンテッソーリ育児アドバイザー。保育士、幼稚園教諭2種。
(監修者)百枝 義雄(ももえだ よしお)
吉祥寺こどもの家園長。モンテッソーリ・ラ・パーチェ トレーニングコース代表。

「わがまま」「こだわり」は才能の種

絵を描く子ども

敏感期を、私は生きるための「型」を身につける時期だと考えています。言葉で教えるだけでは身につけることができない、「順序」「習慣」「所有」「場所」 などの概念を体得し、様々な生き方の「型」を学び、同時に体や言葉も著しく成長します。

何かに強いこだわりを見せるのは、 子どもの本能。この時期の子どもにとっての 「イヤイヤ」は、子どもの将来の才能、人間関係、社会性などに関わる才能を培うためにある「敏感期」なのです。

ですから「敏感期」を知ると、子育てがとても楽になります。なぜなら、子どもの「イヤ」の背後にある理由が何か、わかるようになってくるからです。

そして、そのこだわりを否定するのではなく、大切にできれば、お子さんの能力はどんどん伸びていきます。

段取り力、継続力、集中力、勉強の習慣といった、親が身につけてほしいと願う力は、敏感期を知り、お子さんを観察し、そのこだわりを伸ばすことで、手に入れることができます。

おもちゃが貸せなくても怒らない

泣く子ども

男の子はおもちゃを貸すことができません(笑)。

子どもたちをずっと見てきた経験からいえば、男の子のほうが所有の意識は強いようです。家にお友だちが遊びに来たときのパターンといえば、自分のおもちゃをお友だちが使おうとして、ケンカになり、「遊びに来てもらったのに、おもちゃも貸せないでごめんね」といって終わる……。

これは男の子がいるどこのご家庭でも同じかもしれません。

よくよく考えると、「貸す」ためには、まず「自分のものである」という所有の概念が必要になります。「所有する」ということがわかって初めて、「自分のものを人に貸す」ということがわかるようになるのです。

ですから、「おもちゃを貸せない」という経験は、その後の「貸す」に進むための大きな一歩でもあるのです。大切なのは、まずは子どもの気持ちを受け止めることです。

「そうだよね。○○君のだもんね」と、所有の権利を認めることです。このように認めてもらえると、そのときは貸すことができなくても、徐々にお友だちにおもちゃを貸せるようになっていきます。

ですから、「貸さない」というお子さんに、「そんなこといわないの!」「わがままなんだから」などというのは禁物です。

特に「わがまま」「自分勝手」「意地悪」といった、人格を否定するような言葉はいけません。お子さんは、この時期、「所有」という概念を理解している途中なのであって、決してわがままなどではないからです。

お友だちに何かを貸さなければならないときには、子どもに自ら決めさせるといいでしょう。「どのおもちゃなら貸してあげられる?」のように、子どもの意見を聞くようにします。

小学校に上がるくらいまでは、所有に対する敏感な態度は続きます。この時期にしっかり所有の概念を身につけることは非常に大切です。

特に男の子は、小学生になると様々なカードゲームで遊ぶようになります。カードを「集める」「交換する」「あげる」「もらう」「貸す」「借りる」などの行為がきちんできないと、お友だちとうまく遊ぶことはできません。

その前の「独り占め」する期間は、あくまでもその後の高度なコミュニケーションの準備段階なのです。

次回、お子さんがおもちゃを独り占めして困ったときには、「所有の概念が育っている」と思って、見守ってあげられるといいですね。

神成美輝

神成美輝

幼稚園教諭4年間、病児保育室2年間を経て、モンテッソーリ教育で著名な早稲田フロンティアキッズに7年間勤務。その後、2009年12月 フロンティアキッズ河田町開設に伴い園長就任。保育士、幼稚園教諭2種。モンテッソーリ教育をさらに実践するために2012年モンテッソーリ教師の資格を取得し、園長を辞めて現場に復帰して、系列のメデュケア モンテッソーリ ナーサリースクールにて一指導者として勤務した。子どもだけでなく、親への啓発にも力を入れている。子どもは1人。モンテッソーリの現場に精通している。