開成の校長先生が語った「将来のリーダーになる子」の資質

柳沢幸雄

リーダーになるには自己肯定感を持つこと。自分の決断に自信を持てる子どもを育てよう

では、リーダーになる資質とはどういうものでしょうか。

さまざまありますが、最初に「自己肯定感が高いこと」を挙げたいと思います。

自己肯定感とは、文字通り「自己」を「肯定」する感情のことです。自分のあり方を積極的に評価できる感情により、自らの価値や存在意義を肯定することです。

リーダーになるためには、データの解析などを行い、状況を判断した上で、「決断力」がなくてはなりません。それには、どんな自分も受け入れ、肯定することで、外側からの評価で揺さぶられることなく、自分の決断を信じ、自己承認できることが大切です。

日本の子どもや若者は、他の先進国に比べて自己肯定感が低いとデータが語っています。

『令和元年版「子供・若者白書」内閣府』によると日本の若者のうち、自分自身に満足している者の割合は、「そう思う」「どちらかというとそう思う」を合計して5割弱(アメリカは87%)。

また、自分には長所があると感じている者の割合は「そう思う」「どちらかというとそう思う」を合計して6割強(アメリカ、フランス、ドイツは9割以上)で、いずれも7カ国の中で日本が最も低いのです。

リーダー気質に関係するような設問に関しても、軒並み低い結果です。

「うまくいくかわからないことにも意欲的に取り組む」に、「そう思う」とはっきり告げている人は10.8%。「自分の考えをはっきり相手に伝えることができる」に「そう思う」と答えた人は13.8%にすぎません。

自己肯定感が低いと、失敗にめげず立ち向かう力や、社会貢献をしたいという視野を広くした意欲も弱いということになります。

この結果を踏まえ、子どもたちを少しでも自己肯定感が高く、意欲ある若者に育てていきたいと思います。

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