「子どもを育てる」と「子どもが育つ」の違いとは? 子育てに悩む人が見落としがちなこと

Joe

その子が持つ能力適性を伸ばす

そもそも人間は、持って生まれた「適性」がそれぞれ違います。だから、どういう能力が伸びるのか、また、どういう伸ばし方をしたら伸びるのかも、その人によって違います。

それは当然、あなたの子どもも同じで、その子自身の適性に合った能力を、適性に合ったやり方で伸ばしてあげないと、能力も才能もうまく伸びません。

だから子どもの能力や才能を伸ばすためには、親であるあなたが焦って、子どもにあれこれ強引に「植え付け」ようとするよりも、まずはできるだけその子に自由を与えながら、本人の「適性」をあぶり出してあげるほうが、あなた自身の子育てがラクになるだけでなく、子どもの成長にとってもはるかに効率がいいのです。

また、子どもが自由に育つ様子を見守ることで、その子独自の「特徴」や「適性」が見えてきて、その能力や才能を伸ばしてあげやすくなります。

しかも、あなたの放牧する姿勢によって、子どもの心はどんどん耕され、学習に対する「吸収力」も上がるので、結果的に、その子自身の力によって、必要な知識も吸収できるようになっていきます。

子どもは自分で育つ生き物

教え込まずに子どもを自由にさせるという子育てについて、直観的に理解しづらいと感じる人もいるかもしれません。そう感じる人は、まずは、子どもというのは「自分で育つ生き物」なんだ、ということから理解していきましょう。

そもそも子どもというのは、親が「育てるもの」ではありません。親という環境下で「自分で育つ」のが子どもです。

確かに、親が与える衣食住の環境や、親から与えられる愛情がなければ、子どもは育つことができません。でも、それをもって「親が育てている」と言えるわけではありません。

これは、「粘土細工」と「観葉植物」を比べるとわかると思います。

粘土細工は、あなたがその手でつくらないと一生完成することはない「物体」です。つまり、粘土細工は、あなたが「つくる」べきものです。

でも、観葉植物というのは粘土細工と違って、「自分で育つ」生き物です。

あなたが水や肥料を与えないと育たないかもしれませんが、それらを吸収して伸びているのは、その植物自身です。粘土細工のように、あなたが枝をつまんで引っ張って成長させるものではありません。

あなたの子どもも、植物と同じように、本質的には自分で育つ生き物です。少なくとも、明らかに粘土細工とは違います。

だから、必ずしも粘土細工のようにあなたがその手でこねくり回さなくても、子どもは置かれた環境でさまざまな実験を繰り返し、子どもなりに学んでいるのです。

「この世、初心者」と思って見守る

子どもというのは大人からすると、放っておくとただ遊んでいたり、無駄な動きをしているようにしか見えないことも多いでしょうし、親としては、「そんなことをするくらいなら、平仮名のひとつでも覚えてくれよ」と思ってしまうかもしれません。

でも、そもそも子どもというのは、少し前まで母親のお腹の中にいた、言わば、「この世、初体験」の初心者です。

だから、子どもにとっては、地球上で体験することのほとんどが初体験で、それらが、今後生きるために必要な感覚や知識になっていきます。

たとえば、「ここをよじ登ると、どんな気分になるのかな?」「あ、こんな気分になるんだ!」「でも、そこから飛び降りると、このくらい痛いんだなぁ」というようなことは、大人から見ると、すでに誰もが知っている当たり前の知識のように思えますが、「この世、初体験」の子どもにとっては、このようなことすらも新しく習得するべき感覚や知識です。

体験するからこそ、その子はその後、「これ以上の高さからは落ちないほうがいいな」という危機管理ができるようになったり、「このくらいの高さから、人を突き落とさないほうがいいよね。だって、このくらい痛いから」という他者への配慮もできるようになるわけです。

つまり、子どもというのは、平仮名や足し算のような、一般的に親が習得してほしいと思う知識だけを習得すれば良いわけではなくて、むしろ、それよりももっと重要な「本能」や、生きるために必要な「身体感覚」を、日ごろの遊びや、親との心の通ったやりとりを通して、身に付けていく必要があるわけです。


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