子育てで初めて自分の発達障害に気づく親
自分の子ども時代を見るようで
また、子育てがうまくいかないことの原因に、子どもが発達障害である可能性もあります。発達障害は遺伝することが多いので、親子ともに同じような特性をもつ可能性は高いのです。
子どもに「気になる」傾向があったとき、その保護者にも「気になる」特性があるというのは、保育・教育現場でよくいわれていることです。
母親の特性が遺伝する場合もありますし、父親が仕事はできるけれど子育てに無関心といった「アスペルガー症候群」の傾向をもつ場合もあり、また、夫婦ともに脳の発達のアンバランスがある場合もあります。
子どもが発達障害の診断を受けることで、初めて自分の特性に気づいたという例はたくさんあります。子どもが発達障害と診断され、医師から障害の特性を説明してもらう際、「それって私も同じだわ!」と気づくのです。
また、子どものことがかわいいのに、つい手が出てしまったり、ひどい言葉を浴びせてしまったりする人のなかには、自身が育てられた環境がフラッシュバックして、ハッとするケースもあります。
これは、機能不全家族(本来あるべき家族の機能を失い、そのために問題が起こることの多い家族をいう)に育ったアダルトチルドレン(AC)のお母さんに見られます。
子どもの頃に親にされてつらかったことを、わが子には絶対にしないと心に誓っていたのに、いざ子育てを始めてみると、遺伝子に刷り込まれたように同じことをやっていて驚くというケースです。そして、自分を責めて感情が不安定になることもあります。
母親がACである場合、自分の「心がけ」や「努力」だけでは、なかなか解決できません。まわりの人、特に夫が「よき理解者」になってサポートしてくれることがカギです。
自分でうまく説明することがむずかしい場合は、医師から夫に説明してもらうなどして、自身の特性について理解を深めてもらい、助けを求めましょう。
『発達障害に気づかない母親たち』(PHP研究所)
発達障害を抱えた人が母親になると、子どもとの愛着関係が結びにくいなど、子育てに影響することも多くあります。自分の発達障害に気づかず、なんだか生きづらいと感じている母親の方々が、自身をよく知って、もっとラクに幸せに生きるためのヒントをお伝えします。