開成の元校長が明かした「我が家の英語教育」

柳沢幸雄

日本語版と英語版の絵本で「英語を楽しく」

「英語はコツコツとやらないと身につかない」とよく言われます。それは真実であるけれど、人はがまんを重ねるとそれがキライになります。

たとえば、小さなお子さんなら英語の絵本を活用する。子どもは絵本が大好きだし、絵があれば英語がわからなくても話は追えます。保護者が絵本を英語で読み聞かせても、絵で物語を理解できます。

我が家では、子どもたちが小さい頃は、『エルマーのぼうけん』という絵本の日本語版と英語版を用意し、日本語と英語の両方で読み聞かせをしていました。

日本語版も挿絵は同じものなので、特に文法や単語を教えたわけではないのですが、ふたりとも物語を理解し、目で見て音で聞く英語を、自然に覚えていきました。

歌が好きなら、英語の歌を歌うことをおすすめします。音源と歌詞を用意して、歌詞を見ながら歌ったり、歌詞を見ないで歌ったりを繰り返していると、だんだん歌詞がなじんできて、そのうち歌詞を見なくても歌えるようになります。

「セサミストリート」や「えいごであそぼ」は中高生の文法学習にも効果的

本や歌などもよいですが、今の子どもたちは動画で英語を学ぶのが得意です。我が家の息子たちの場合は、アメリカでも日本でも「セサミストリート」をよく観ていて、これで英語に親しみました。

ご存じの方も多いと思いますが、「セサミストリート」はアメリカ合衆国連邦政府の育児支援施策のひとつとして、1969年から親しまれているテレビ番組です。

アメリカには多様な国の多様な家族が住んでいます。子供たちが、小学校就学時に、少なくともアルファベットや、10までの数を数えられるように、と国をあげて育児支援を目的につくられた教育番組なのです。

ですから、文法や発音なども正しく、安心して子どもに与えられます。

今は番組は放映されていませんが、英語版のDVDがまだ販売されていますし、YouTubeなどでも英語版が配信されています。中学生、高校生でも、日本語なしで観る、あるいは字幕で観れば、よい英語の勉強になります。

少しやさしい教材は理解できる部分が多く安心して観られますし、定着にもよいので、幼児向けの番組だからなどと思わずに繰り返し観せるとよいと思います。