子どもを「勉強嫌いにする親」と「勉強好きにする親」の決定的な違い
勉強しようとしない子どもに対して、ついガミガミと言ってしまう――。一体、どうしたら自分から勉強してくれるようになるのか?ただ、子どもの意識を変える前に、親の意識を変える必要があるかもしれない。そう指摘するのは、『つぶさない子育て』の著者である高濱正伸氏だ。どうすれば、子どもは勉強好きになるのか?
※本記事は、高濱正伸著『つぶさない子育て』(PHP研究所)より、一部を抜粋編集したものです
高濱正伸(花まる学習会代表)
1959年、熊本県生まれ。東京大学大学院修士課程卒業。93年に、「国語力」「数理的思考力」に加え「野外の体験教室」を指導の柱とする学習教室「花まる学習会」を設立。算数オリンピック問題作成委員・決勝大会総合解説員。
その「ガミガミ」が子どもを勉強嫌いにする
我が子を自立した大人に育てるためには、やはり「勉強」が欠かせません。日本の教育制度は様々な問題点が指摘されていますが、それでも学校の勉強をきちんとしていれば、世の中を渡っていくうえで必要な知識の基盤ができます。将来の進路の選択肢が広がるのも確かです。
受験する・しないにかかわらず、小学生の頃からしっかり勉強しておくことが大切です。
もちろん、それはお母さん、お父さんも十分に承知しているかと思います。しかし、「我が子に勉強してもらいたいけれども、なかなか勉強してくれない…」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
私が保護者からよく相談を受けるのは、「勉強しようとしない子どもに対して、ついガミガミと言ってしまう」ということです。子どもが幼稚園や保育園の頃は、勉強しているかどうかはとやかく言わず、簡単なドリルで文字を書いたら、手放しにほめていたりしたのではないでしょうか。
しかし、小学校に入る頃になると、お母さん、お父さんは「そろそろ勉強してほしい」と思うようになるものです。「自発的に勉強する子になってほしい」と根気よく待つものの、いつまでも遊んでいるのを見ると、ガマンできなくなります。そして、小言を言ってしまうのです。
勉強していなければ、「勉強しなさい!」「ちゃんとやったの!?」。勉強し始めたとしても、正解か不正解かという観点から、あれこれ言ってしまいます。
ひらがなや漢字を書けば「とめはねをちゃんとしなさい!」
計算を間違えたら「なんでこれがわからないの!」
国語の読解問題がわからないと「ちゃんと読んでいるの!?」
などと、あれこれ指摘し始めるわけですね。
ただ、おわかりの通り、ガミガミ言ったところで、子どもは勉強をしません。それどころか、言えば言うほど心の底で勉強が嫌いになってしまいます。
小さな頃は字を書くだけでも「よく書けたね」、計算をして間違えたとしても「おしいね。でもよく考えたね」などと言われていたのに、小学生になった頃から、少し間違えただけで、怒られる。子どもはその変化に戸惑いますし、なにより、ガミガミ言われながら勉強をして楽しいはずがありません。
それがイヤで、勉強をしなくなってしまうのです。すると、勉強をしないのでますます「勉強しなさい!」とガミガミ言われるようになります。そういう悪循環になるのです。ちなみに、あれこれ言われることで嫌いになるのは、勉強に限らず、習い事についても同様です。
ピアノにしても、本来楽しく弾いていたのに「練習をちゃんとしなさい!」「なんでそこを間違えるの!」と言われるうちに、嫌いになっていきます。サッカーでも「ちゃんとボールをトラップしなさい!」、ダンスでも「またその振りつけ間違えた!」などと言われていたら、イヤになるものです。