「甘え」がはぐくむ5つの能力

田宮由美

幼児期に子どもを十分に甘えさせると、人生を歩むために必要な能力を身につけることができるのです。ワガママにも依存心が強い子にもなりません。

※本記事は、「PHPのびのび子育て」2016年2月号より、一部を抜粋編集したものです

田宮由美(家庭教育協会「子育ち親育ち」代表)
幼児教室の指導者、子どもに関わる公的ボランティア、幼稚園、小学校、中学校での勤務を通し、多方面から多くの親子と関わる。現在は、親の心に寄り添いながら実生活に落とし込んだ子育てを執筆、講演などを通し発信している。 著書に『子どもの能力を決める0歳から9歳までの育て方』(KADOKAWA)など。

「甘え」がはぐくむ5つの能力

「甘えさせると、ワガママな子にならないかしら」「親に依存して自立できない子に育ったら、どうしよう」と、お子さんを甘えさせることをためらうお母さん方も多いと思います。 でもじつは、お母さんに十分に甘えることによって、子どもの心は豊かに成長していくのです。

お子さんが赤ちゃんだったときのことを、思い出してください。

お子さんはあなたにおっぱいやミルクを飲ませてもらい、おむつを替えてもらい、泣けば抱っこしてもらうというように、生活のすべてを、親に依存していましたね。

この「依存」が言い換えれば「甘え」になるのです。赤ちゃんのときに親に100%依存すること、つまりお母さんが自分の要求にすべてこたえてくれることで、子どもは安心し、満足感を得て、お母さんと強い信頼関係を築きます。

甘えさせることをためらわないでください

しかし、生活のすべてを依存していた赤ちゃんも、成長とともに何でも親にしてもらうことに不自由感を抱き、自分で自由に行動してみたいという欲求を持つようになっていきます。 これが自立への第一歩です。

親から自立した子どもは自由を満喫しているのですが、ふと寂しさや不安を感じ、再びお母さんの元へ戻ってきます。このとき上手に甘えさせてあげることが、さまざまな能力を伸ばし、さらなる自立へと子どもを導くのです。

では、甘えさせる時期はいつまでかと尋ねられますと、幼いころ十分に甘えさせてもらった子どもは、自然と親から離れていくときがきます。

スキンシップを伴う甘えは思春期に入る前くらいが目安だと敢えてお答えしていますが、お子さんがひとりの大人として自立するまでは、いつでも抱きしめてあげるよ、という気持ちを態度で示してあげてくださいね。 「甘え」がはぐくむ能力について、次から記します。