挨拶をする子としない子の違い

池崎晴美

笑顔の挨拶はプラスの思いを伝える

親御さんの影響に関するエピソードをもう一つお話ししましよう。

息子の小学校時代の友だちに笑顔を見せない女の子がいました。彼女は子ども同士で遊んでいるときは笑顔を見せるのですが、大人に対しては滅多に笑わないのです。話しかけても無表情で、返事をするときも言葉は少なめ。挨拶もするにはしますが、表情に乏しくて少し気になっていました。

実は彼女のお母さんが感情を表に出さないタイプ。悪い人ではないのですが、ちょっとつかみどころがない感じの人でした。そのお母さんの影響をお子さんが受けていたようです。

お母さんにしてもお子さんにしても、笑顔がとってもステキなのに、それでずいぶん損をしているんじゃないかな、と思いました。明るい表情で挨拶が上手にできるようになれば、本来備わっている魅力を出し切れるのに……。

これはすべての人に言えることです。

また「笑顔」を通して感じることがあります。それは、笑顔のできていない人のほとんどは、自分が笑みを浮かべていないことに気づいていない、ということ。

きっと本人としては微笑んでいるつもりなのでしょう。でも、微笑みどころか、相手からは怖い顔をしていると受け止められるケースが多いのです。これでは人生で大きな損をしているようなもの。第一印象が良くないと、あとあとまで引きずります。

真顔で会話をする人は、マイナスの思考に陥りやすいことをご存じですか?

脳は、笑顔になると心も楽しくなるというしくみをもっています。例えばむかしの人は、子どもが泣いているときに「笑って、笑って」とよく声をかけていました。そのことで、心が元気になることを生活の知恵として知っていたのだと思います。

笑顔になると楽しくなる。逆に、笑顔がないとマイナスになるわけです。

だから、知らず知らずのうちに怖い顔になって挨拶をしていると、マイナス思考を相手にぶつけてしまうことになります。笑顔の挨拶はプラスの思いを伝えるので、そのあとの会話もまったく変わってきます。

こちらが笑顔になれば相手も笑顔になるので、笑顔の挨拶がもたらす効果は、相当なものなのです。何度も言いますが、お子さんの挨拶は親次第です。

『12歳までに身につけたい「幸せな人づきあい」の習慣』(PHP研究所)
上手に人づきあいをするために、必要となる習慣とは? 話し方講師の池崎晴美さんが語ります。