悪い言葉は子どもに伝染する

池崎晴美

真剣な顔の子ども

ふだん自分がよく口にしている言葉について考えたことがあるでしょうか?おそらく多くの人が、自分の口グセには無頓着なのではないでしょうか。あまり意識せずに使っていると思います。口グセってそういうものです。

※本稿は、池崎晴美著『12歳までに身につけたい「幸せな人づきあい」の習慣』(PHP研究所)から一部を抜粋し、編集したものです。

池崎晴美(話し方講師/フリーアナウンサー)
2児の母。ラジオパーソナリティ、NHK、CBC、東海テレビでリポーター、ケーブルテレビでキャスターを務めた後、1994年に(有)フロム・サーティを設立。話し方のプロフェッショナルとして、年間約1万人に話し方の大切さを伝え、話し方講座「ハッピートークトレーニング」の研修をおこなう。

お母さんのネガティブな口グセは意識すれば直せる

母親と男の子

口グセの傾向としては、ネガティブなニュアンスをもつものが多いと言えます。意識するとあまり口にしたいと思わないのがログセ。無意識だからこそ、つい口にしてしまうというわけです。

でも、そのネガティブな口グセは知らず知らずのうちに、あなたの心にマイナスのスパイラルをもたらしているのです。口グセは無意識に出るものです。口グセを直すには意識をしなければならないのです。

「あ、私いま、ネガティブな言葉を言ってしまったわ!」

その気づきをくり返していけば、そのうち口グセを発する前におさえることができるようになります。口グセが出そうになったとき、その寸前で気づけるようになるからです。

ここで、私自身の例を紹介しましょう。

子どもたちがまだ小学生だった時の私の口グセは、「忙しい!」でした。仕事に追われて、いくら時間があっても足りないと感じ、いつも焦っていました。

仕事から戻っても「忙しい、忙しい」とバタバタしていて、「ただいま!」という言葉を忘れていたほどです。そのうち、この「忙しい」に加えて「疲れた!」も口ぐせになりました。これがマイナスのスパイラルですね。

そうこうしているうちに、次はひどい肩こりに悩まされるようになりました。言葉は体にも影響をもたらすのです。

そんなある日、母が私の口グセを指摘してくれました。「あなたは、いつも『忙しい』と『疲れた』しか口にしないね」その言葉にハッとしました。ふだんの自分の言動を振り返ったら、まさにそう。

一番ドキリとしたのは、子どもたちとまともに会話をしていなかったことに気づいたこと。なにしろ「ただいま」も言わないのですから。まともな会話ができていたはずがありません。

母の指摘のおかげでネガティブな口グセを「意識化」することができたのです。意識できるようになると、口グセは直せます。そのうち「忙しい!」も「疲れた!」も言わなくなりました。

すると、あんなにひどかった肩こりも解消していたのです。改めて言葉の持つ力を実感しました。