「子どもに伝わる叱り方」と「効果の無い叱り方」の違いとは?
「何度言っても態度が治らない」「いくら叱ってもかわらない」と子育てで悩んでいる人は少なくないでしょう。「子どもにわかる伝え方」を心がけ工夫することで、子どもの心に親の思いが届き、態度もガラっと変わると、法政大学文学部心理学科教授の渡辺弥生先生は解説します。
※本稿は『PHPのびのび子育て』2015年8月より一部抜粋・編集したものです。
渡辺弥生(法政大学文学部心理学科教授)
筑波大学、静岡大学を経て現職。教育学博士。育児に不安を抱える保護者のカウンセリングや家庭教育講座などの講師も務める。著書に、『子どもの「10歳の壁」とは何か?』(光文社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など多数。
「叱る」より「伝える」が大事
「人前で子どもを叱れない」「厳しく叱っているのに、言うことを聞かない」と悩んでいる方、少なくないですよね。でも、ちょっと考えてみてください。
「叱る」のは、他人を意識することではなく、本来の目的は、親の意図をしっかり伝えるためです。どうすれば子どもの心に親の思いが届くかを考えることがポイントです。
危険が迫っている時は、「コラ!」と厳しく叱ってしまうことはよくあること。でも、日常生活の中では、反射的にではなく、子どもにわかるように「伝え方」を工夫しましょう。怒鳴ったりすることは即効性があるようで、長い目でみると効果なしです。時間をかけてくり返すことが必要です。
子どもは、親が考える「やっていいこと、悪いこと」の区別なくいろんなことをしでかします。こうした善悪の区別は、親や周囲の人間がくり返し、粘り強く、子どもにわかるように教え諭して、ようやく理解にいたります。放っておけば自然に覚えていくことではないのです。
歯麿やお風呂の入り方のように、具体的に「どんな伝え方」をするかが大事なのです。