親に必要なバランス感覚

秦野悦子
2023.03.13 16:42 2023.03.13 16:42

親に必要なバランス感覚

二人の子ども

では、どんなふうに関わる親が、子どもによい性格を育めるのでしょうか。それは、ひと言で言うと、”バランスのとれた親”です。

つまり、理想的な、ただ一つの”あるべき”理想の親像というのは存在しないのです。誰しも子どもにとって完全な親にはなれませんし、その必要もありません。

必要に応じて、ときには子どもに命令を出し(支配)、ときには子どものおねだりを聞き(服従)、ときには突き放し(拒否)、ときには包み込む(保護)。

どれかが突出することなく、また極端に不足することもなく接することができれば、そしてその根底に、子どもに対する愛情があれば、子どもの性格を心配することはありません。

もしあなたが怒りすぎることに悩んでいるなら、怒らない親になろうとするのではなく、怒った分だけ、食事の時間やお風呂の時間に子どもを温かく受け入れるひと時をもつ。

下の子の世話に忙しくて上の子にかまってやれないことが続いて気がかりであっても、下の子の世話を放棄するわけにはいきません。そんなときは、「いつもありがとう」の気持ちを込めてぎゅっと抱きしめる、買い物のときに好きなおやつを1つだけ選ばせてあげるなど、上の子にもちやんと関心をもっていることを示せばよいのです。

親自身を取り巻く環境や、親の行動特性をすぐに変えることは簡単ではありませんが、子どもへの対応のしかたを新たに加えるだけならば、簡単に取り組めるのではないでしょうか。

親として子どもへの対応にバランスがとれているかどうかをみるには、1日という短い単位ではなく、一週間とか一カ月の長めのスパンで考えてみてください。

自分の性格を認めましょう

母親と男の子

あなたは、自分の子育てがうまくいかないのは、自分の心(性格)の問題だと思っていないでしょうか。

たとえば、自分はダメな人間で、この性格を変えないといけないと思っている人は、自分の性格を変えることなどできません。なぜなら自分を否定している人は、自分が性格を変える力があるということも信じられないため、変化が起きにくいのです。

また、せっかく変化を起こしたとしても、「このくらいでは足りない。やっぱり私はダメだ」と、ますます否定のスパイラルに陥ってしまいます。

自分の性格を変えたいと思うなら、まずは自分のなかにあるよいところに気づくことです。よいところがひとつもない人間はいません。弱さや不十分さを含めて、自分のよさに気づくことです。自分は価値のあるすばらしい人間だから、もっとよくなろうというポジティブな考え方を抱くのです。

よくなりたいと思う気持ちが、自分で気付いていないよい性格を引き出す引き金になるのだと思ってください。そう思えれば、あなたはもっとすてきなあなたになれるはずです。

そのためにも自分を見つめ直し、自分を理解し、自分の性格の嫌な部分も嫌わないことです。あなたの”今”を否定しては、未来を変えることはむずかしいでしょう。

子どもの気になる性格はお母さん次第でみるみる変わる(PHP研究所)
なぜ、この子はこんなに頑固なの? 素直じゃないの? 飽きっぽいの? など、子どもの気になる性格は、親のとらえ方・接し方次第でグンと変わります。上手な導き方を解説しています。