子どもの「ダダこね」には必ず理由がある!?

秦野悦子

子どもが言うことを聞かない時は、あなたに何か伝えたいこと、気づいてほしいことが、あるのかもしれません。

※本稿は、「PHPのびのび子育て」2015年2月号より、一部抜粋・編集したものです。

秦野悦子(白百合女子大学教授)
児童文化学科発達心理学専攻。専門は、発達心理学(言語発達、障害児のコンサルテーション、子育て支援)。臨床発達心理士。その他、日本発達心理学会常任理事、日本保育学会保育臨床相談システム検討委員、臨床発達心理士実践研究編集委員、一般社団法人臨床発達心理士認定運営機構事務局長を務める。2006年より、わかふじ幼稚園副園長となる。三児の母。

必ず理由があります 「ダダこね」の根を掘る!

思い通りにならないと、泣いたり暴れたり、いつまでもグズグズと聞き分けが悪かったり、相手の気持ちや迷惑にはかまわず自分の思いを無理に押し通そうとしたり――。

こうした「ダダこね」は、親の立場から見れば、わがままのひと言につきるのですが、子どもにとっては、何かを伝えようとしている手段だと思えば、グズグズやわがままに対する受け止め方も変わってきます。

ダダこねが始まってしまうと、子ども自身も気持ちを上手く切り替えられなくなります。消火活動は目の前の炎ではなく火元に行ないますが、それと同様に、目の前でどんな修羅場が繰り広げられていようとも、親が第一にすべきことは、わがまま、グズグズのきっかけや原因を見つけることです。

対処法を探すのではなく原因やきっかけを見つけることで、結果的に対処法へと導かれていきます。子育てにおいても急がば回れが鉄則なのです。

隠れた本音に気づきましょう

子どもは、自分の気持ちをうまく伝えられないがために、騒いでいる可能性も大きいのです。親の立場で結果や状況だけを見るのではなく、「どうしてそういうことをするのかな」と、その裏側にある気持ちを考えましょう。

子どもの負の感情にも向き合い、気持ちに共感してください。怒りや悲しみなどの気持ちを親子で伝え合う経験を積むことで、園や学校でも、子どもは適切に自分の気持ちを伝えられるようになるはずです。

・大人の都合を優先しようとする時
親の都合で子どもの遊びを一方的に切り上げたり、1日連れ歩いたりすると、子どもは次の行動の見通しが持てず、その時、その場で好奇心を満たそうとするため、普段より聞き分けが悪くなります。

・体が疲れている時
1日の中では夕食前の空腹時が、体も心ももっともエネルギーの補給を必要とします。子どもは甘えたい気持ちが全開になり、いつまでもグズグズと無理難題を要求してきます。

・長期の休み明けの時
休み中は、起床や睡眠時間が不規則になります。休み明けも生体リズムが整わず、寝起きの悪さが不機嫌さ、登園・登校しぶり、わがままという負の連鎖へとつながっていきます。

・自分を認めてもらいたい時
自分は強いと示すために、また、他に向いている親の関心を独占したいがために、ごねたりすることがあります。友だちとのいさかいの後になぐさめてほしい場合にも、わがままになります。

・成長の節日の時
下のきょうだいが生まれ家族が増えた時や、入園やクラス替え、担任が変わった時など、環境の変化にがんばって順応しなければならない場合に、わがままやグズグズで心の避難所を求めたりします。