3歳・7歳・10歳は子どもの脳の発達の節目

林成之

3歳・7歳・10歳が節目

では、子どもの脳が大人の脳として完成するまでの発達段階を、年齢に置き換えてみましょう。

・脳神経細胞がどんどん増え続けていく時期が0~3歳
・脳神経細胞の「間引き現象」が起こる時期が4~7歳
・「情報伝達回路の機能」が発達していく時期が8~10歳

このようになります。育脳は10歳までが大事だとよく言われるのは、こうした相関関係があるからです。

ところが「育脳は10歳までが大事」と知った親御さんの多くは、子どもの脳を育てようとして間違ったアプローチをしてしまいがちです。「よい脳に育てるには、早くから早期教育や育脳トレーニングのようなことをしたほうがよい」と考えてしまうのですね。

確かに、生まれたての赤ちゃんの脳細胞はどの子も同じ。成長のスタートラインは一緒です。その先どのような脳になっていくかは、外部からどんな刺激が加わるかで変わっていきます。

しかし、だからといって0歳のときから育脳トレーニングや早期教育を始めたほうが「よい脳」に育つかというと、決してそうではありません。

その前に、気持ちのこもった楽しい会話、こころから気持ちが伝わる会話を、繰り返し、繰り返し行なうことによって、集中力や才能発揮の素質を育てるほうが、理にかなった、効果的な子どもの育て方になるのです。

「よい脳」を育てるには、3歳まで、7歳まで、10歳までの三つの段階で子育てのアプローチを変えていかなくてはなりません。

「脳神経細胞がどんどん増え続けていく0~3歳の時期」「脳神経細胞の間引き現象が起こる4~7歳の時期」「”情報伝達回路の機能”が発達していく8~10歳の時期」、それぞれの時期には、それぞれの時期に必要な発達のテーマがあります。それに合わせて子どもの育て方も変わります。

言い換えれば、それぞれの時期に合わせた育脳こそが子どもの脳の成長を促し、大きな才能を発揮できる脳にしていきます。また、それが「集中力」の源をつくっていくことにもつながるのです。

育脳に「手遅れ」はありません

加えて、脳の成長において親御さんが勘違いしがちな点が二つあります。

ひとつは 「うちの子はもう10歳。それまで脳の成長に大切な育て方をしてこなかったから手遅れなの!?」と思ってしまうこと、もうひとつは 「うちの子は何をやらせても遅い。きっと脳がちゃんと育っていないんだ」などと考えてしまうことです。

この二つは明らかなる誤解です。脳には、その時期ならではの、育脳のやり方がありますが、一方で、いくつになっても鍛えることができます。

脳の仕組みを知り、脳が機能するにはどのようなことが子育てにおいて重要かを知り、それを実践していくことで、年齢問わず脳を鍛えていくことはできるのです。ですから手遅れはありません。

また発達途上にある子どもの脳は未熟です。でも未熟だからこそ柔軟です。発達のスピードもその子によって違います。

成長のスタートラインは同じでも、その後は一定のスピードで育っていくわけではなく、ゆっくりだったり、グングンだったり、子どもによって違いがあります。

今は成長が遅かったとしても、だから脳が育っていないわけではないのです。

小さいときはグズグズしていても大人になったら変わる子はたくさんいますし、脳の発達を妨げずに育ててやることで、成長した後にものすごい才能を発揮するようになる子もいっぱいいます。

むしろ親御さんが心配したり焦ったりするあまり、「あれをしなさい、これをしなさい」といろいろ口出しをしたり、「勉強しなさい」「早くしなさい」と命令したり、「それじゃ無理」「そんなんじゃ失敗するわよ」と否定したりすることのほうが子どもの脳の成長を妨げます。

それだけでなく、こうした関わり方をすればするほど、子どもは集中力のある子になっていかないのです。

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