ヘッドバンキングをして、私の気をひこうとします~子育て相談室
ヘッドバンキングをして気を引こうとするわが子に、どのように接すればいいのでしょうか。シングルエイジ教育研究会の斉藤孝子さんが、子育ての悩みに答えます。
※この記事はWEBサイト「PHP INTERFACE」に掲載されたものです。
斉藤孝子(さいとう・たかこ/日本ベビーコーチング協会理事)
1963年生まれ。日本ベビーコーチング協会理事。1990年から1992年の2年間、衛星チャンネルで公開授業を放映。各種雑誌での執筆の傍ら、幼稚園などの研修や教材開発を手がける。かぞくの雑誌「きらら」、シングルエイジ教育誌に連載中。「幼児は表現の天才」(アドア出版)「母と子と先生と」(創教出版)「生き方の原理原則を教える道徳教育」(明治図書)などにも執筆。2児の母。
気をひこうとヘッドバンキング
1歳の男の子が一人います。1歳になった日から私が仕事にでるようになりました。
朝は子供が寝ている間に出勤し、夜はご飯を食べさせ寝かせるという生活を送っています。昼間は保育園に預けています。そのため、なかなか、一緒に遊ぶ時間がとれません。
一人遊びが好きなようで 結構、一人で遊んでいるのですが、あきてくると、壁に力いっぱい頭をぶつけて、私の気をひこうとします。何度も連続で頭をぶつけ、私が抱っこするまでやめようとしません。そのため、ご飯の用意などができずにいます。
やはり、さみしいのでしょうか。できればたくさん遊んであげたいと思うのですが、そうすることもできません。さみしい思いだけはさせたくありません。何かよい方法はありますでしょうか。
(25歳 女性 会社員)
斉藤孝子先生からのアドバイス
結論から申し上げますと、
(1) お子さんだけと向き合い、遊ぶ時間を15分、設定しましょう。
(2)お子さんとのスキンシップを大切にしましょう。
私も2児の母。子どもを育てながら、仕事を続けてきました。お母さんのように思い悩んだこと、たくさんありましたよ。働くお母さんは、仕事場から帰宅した後は、本当に大変ですよね。夕食を作って、食べさせて、片づけしたら、お風呂に入れて、ふとんを敷いて、寝かしつける。
さらに、翌日の保育園の準備や洗濯……遊んであげたいけれど、できないゆとりのない生活に、自分が嫌になってしまうこともありますよね。
さて、頭を壁や床にぶつけるという行動ですが、ヘッドバンキングといって、この頃の子どもには多く見られるものです。原因の一つとしては、お母さんもおっしゃるように、お子さんの欲求不満にあります。自分の思い通りにならない時、眠い時、怒った時などこのような行動でお母さんに訴えかけていくのです。
そんなにひどくなければ、2歳ぐらいを目安に次第におさまっていきますよ。ただ、あまりにもひどくなるとけがなどの危険が伴うので、要注意ですね。
そんな欲求不満を解消させるためには、上記の2つの結論を実践していただくことかなあと思います。お母さんは、遊び相手になってあげたい。でも、できないとお悩みのようですが、私は、「量より質」だと思います。たくさん、時間があるから子どもの欲求を満たすことができるかというと、全てがそうだとは思いません。
15分の遊び時間をつくろう
毎日の中で、多少、他のことが手薄になってしまっても、何もかも忘れて、15分はお子さんと向き合って、無心に遊ぶこと……これが大切だと思いますよ。全てを完璧にと考えずに、時には、簡単料理にして、15分の遊び時間を作りましょう。
その時は、遊びだけにお母さんは集中してくださいね。お子さんと遊びながら、頭の中では、「あー、時間がない。あれもやらなきゃ!これもやらなきゃ!」と思っていては、どんなに遊ぶ時間を作っても無駄です。子どもの心はすごく敏感なんです。自分と遊んでいても、自分にお母さんの気持ちが向いていないことはすぐわかってしまいます。
ヘッドバンキングをしている時のお子さんの気持ちは、「ぼくと遊んでよー」という訴えのほかに、「お母さん、僕だけを見て! 僕を愛してくれているかな。」という不安もあるはず。基本的信頼感が形成される大事な時期です。夜、寝る前や保育園からの帰宅後など「愛しているよ」という気持ちをたくさんこめて、抱きしめてくださいね。
最後に、働いている自分に対し、負い目を持つのはやめましょうね。自分の仕事、自分の生きかたに自信をもって、仕事と育児の両立を考えてくださいね。限られた時間だからこそ、その時間を大切に有効に使えるかも?そういう中で、子どもは安心し、親子の心はつながるはずです。がんばって!