上の子が人見知りで……くっついて離れません~子育て相談室

斉藤孝子

人見知りが激しくお母さんのそばから離れないわが子には、どのように接すればいいのでしょうか。シングルエイジ教育研究会の斉藤孝子さんが、子育ての悩みに答えます。

※この記事はWEBサイト「PHP INTERFACE」に掲載されたものです。

斉藤孝子(さいとう・たかこ/日本ベビーコーチング協会理事)
1963年生まれ。日本ベビーコーチング協会理事。1990年から1992年の2年間、衛星チャンネルで公開授業を放映。各種雑誌での執筆の傍ら、幼稚園などの研修や教材開発を手がける。かぞくの雑誌「きらら」、シングルエイジ教育誌に連載中。「幼児は表現の天才」(アドア出版)「母と子と先生と」(創教出版)「生き方の原理原則を教える道徳教育」(明治図書)などにも執筆。2児の母。

人見知りが激しい上の子…

5歳と2歳の女の子をもつ母親です。上の子のことで相談があります。

上の子は、小さい時から人見知りが人一倍激しく、人の顔を見ると、そっぽを向くという感じで、いつも私から離れることはなく、よく泣く子でした。

5歳になった今でも、一人で公園に遊びに行くことができず、いつも「お母さんと一緒に行く」とだだをこねます。ちょっと、ゴミを捨てに行く時も「私も行く」と行って、泣きます。

小さい時から今までずーっと「お母さん、お母さん」だったので、もう私は疲れてしまいました。その言葉を聞くと、ほんとうにイライラするし、なみだがでてきそうになるし、頭が爆発してしまいそうになります。

どうして、こうまで私から離れられないのでしょうか? 私の育て方に問題があるのでしょうか。下の子とは、ケンカはしょっちゅうですが、おねえちゃんとしてよくやってくれていると思います。

友達とは知っている子とはいいのですが、はじめてだったり、またよく遊ぶ子でなかったりすると、すぐに仲良く遊べません。

仲のいい子同士でも、2人がすでに仲良く遊んでいるところに後からきた場合、その中にすぐ入れず、私にくっついて離れません。ずっーと2人の中に入れず、家に帰ると言い続けた時もありました。

言ってはいけないと思いながらも「もう5歳なのに、どうしていつもお母さんお母さんっていうの!!」と言ってしまっています。その時は「もう言わない、ごめんなさい」と言うのですが、同じことの繰り返しです。

私の心の中にも”もう5さい”だけど”まだ5さい”という思いが葛藤しています。けれど、5年間ずーっと私から離れてくれない、このストレスは相当なものです。

お母さんから離れて遊んでいる子をみると、本当にうらやましいです。上の子は、このままでもだいじょうぶでしょうか。これから、どう接していったらいいのか教えてください。宜しくお願い致します。

(34歳・女性・主婦)

斉藤孝子先生からのアドバイス

人見知りが激しくお母さんのそばから離れない…というご質問ですね。

お母さんの「まだ5歳・もう5歳」と悩み苦しくなるお気持ち、よーくわかりますよ。なぜなら、我が家の上の娘もそうだったからです。私も悩みました。苦しみました。「どうしていつもまとわりついてくるの? どうして離れないんだろう。早く離れて欲しい。」とばかり、思っていました。

でも、そう思っている時は離れてくれませんでしたよ。突き放そうとすればするほど、逆効果でした。…というのも、子どもの心は、不安でいっぱいなんです。安心できる場所を求めているのです。だって、まだ、5歳なんですもの。

突き放すことよりもまずは安心させることの方が先決だと思います。安心できれば、きっと自分から離れていきますよ。そして、自立します。ですので、しばらくは安心させ、その中で自信を持たせる機会を与えてみてはいかがでしょう。

(1)しばらくは、突き放さない
お子さんが、一緒に、「ゴミ捨てに行く」と行って来たら、「うん、行こう。」と言い、逆にお手伝いをお願いしちゃう。

(2)家族の一員としてのお手伝いを与え、自信を持たせる。
関係ないと思われがちですが、こういうことの一つ一つが自信となっていくものです。「さすが、お姉ちゃん!本当に助かるわー」と行動をほめまくりましょう。なんでも、大人がやってしまうと、保護されて育っていくことを体得し、人に頼りたくなるものなのです。

お手伝いに限らず、自分でやれるところは何でもやらせる、手をださない、ぐっとがまんすること…これも大事ですね。

さて、幼稚園は、一人で行かれていますか? 園での生活をきちんとしているのであれば、大丈夫! 少しずつ少しずつ進めていきましょう。何度も繰り返すようですが、怒るのでなく、認め、安心させる…そんな中から一人で責任をもって行なうお手伝いなどで自信をつけさせていく…認められ、自信をつけていけば、絶対、外でも一人でがんばれるようになります。

お子さんは、頭の中ではわかっているんです。だから、「もう言わない、ごめんなさい」と謝るのです。でも、理屈ではなくて、できないんです。そんなお子さんの苦しい気持ちもわかってあげてくださいね。

上記のことを意識して続けていったところ、我が家の上の娘も小学校へ入ってからは、いつのまにか解消されました。私もお母さんが今思っているように、離れてくれない期間はストレスもあり、長かったです。

でも、考えれば、それから先の人生の方がもっと長い。その長い人生を生きていく強さを今、お母さんとお子さんはいろいろな戦いの中で苦しみながら培っているんです。

ですから、お母さん! がんばって! 何かあった時は、また、ご相談くださいね。