男の子にお手伝いを頼むときは、わかりやすく具体的に

成田奈緒子

「アレとって」では伝わらない!? 男の子は、「察する」のが苦手な傾向にあります。

※本稿は、成田奈緒子著『脳科学からみた男の子の「ちゃんと自立できる脳」の育て方』(PHP研究所)から一部を抜粋し、編集したものです。

お手伝いを頼むときは、わかりやすく

お手伝いに関連してお話ししておきたいのが、日頃、子どもに何かを頼むときの言い方についてです。

ひとつ質問です。

あなたが夕飯の支度をしているときのことを想像してください。今日の献立は麻婆豆腐で、食器棚から麻婆豆腐を盛るお皿を息子さんに取ってほしいとき、どんな頼み方をしていますか?

「いつものあのお皿取って」「そこにある大きいお皿取って」など、抽象的な言い方をしていませんか?

言語脳が優位である女の子の場合は、「お母さんはきっと、このお皿を取ってほしいんだな」と、なんとなく意味が類推できるのですが、「察する」という能力が乏しい傾向にある男の子の場合は、意図が汲み取れません。

「えっ? どのお皿がいいのかわからない。このお皿?」などと言いながら子どもが取ってくれたお皿を見て、「は? 違うでしょ! いつもうちで麻婆豆腐食べるときのお皿、わからないの? もう! 全然役に立たないんだから!」などと叱ってしまっているお母さん。

それでは男の子がかわいそうです。あなたの言葉のかけ方が、男の子にとっては不適切なのです。男の子は、あなたに何をお願いされたのかがわからないから、役に立つことができないのです。

子どもの立場に立って考えてみると、自分自身が何をお願いされたのかよくわからないままお母さんに叱られたら、イヤな気持ちしか残りませんよね。男の子に頼みたいこと、してほしいことは、「具体的に伝える」ことが大切です。

では先ほどの、お皿を取ってほしいときの言い方を、もう一度考え直してみてください。

「食器棚の2番目にある青いお皿取ってくれる? 麻婆豆腐を盛るから」などと「具体的に」声をかければよいのです。

このような言葉がけを日常的に意識することで、子どものほうも主体的に動けるようになります。

頼みを聞いてもらったお母さんは、「ありがとう。助かったよ」といった感謝の言葉も忘れずに。大好きなお母さんからかけてもらった言葉が、本人の自信につながります。

いかがですか?

いつも一緒に生活しているからこそ、「多分わかってくれているだろう」という思い込みから、子どもに対して抽象的な言葉ばかりを多用してしまうと、特に男の子の場合は理解できていないことが多いのです。

これを機に、今までわが子に何気なくかけていた「お願いの言葉」を見直すことができたらいいですね。

脳科学からみた男の子の「ちゃんと自立できる脳」の育て方(PHP研究所)
発達段階に応じた特徴を、私が蓄積した脳科学や医学の正しい知識をベースにして理解することで、できるだけ楽しい子育てを実現していただきたいと願って執筆しました。「愛すべき男の子たち」をよりいっそう理解するための一助となれば幸いです。