遅れそうになってもダラダラ~叱らず伝えられる魔法のカード

岩立京子

2.大事な電話をしているときに、電話に出たがるルミちゃん(3歳)

……電話相手の声が聞こえないくらいせがまれると、困ってしまいますよね。

幼い子どもは、ガマンすることや「待つ」ことがそもそも苦手で、その上、相手の状況や気持ちを理解することが難しいのです。また、親が見えない相手と話をする電話は、子どもにとってとても興味深いので、電話に出たがる子どもは多いものです。

「大事な電話に限って、邪魔して」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。大事なときに邪魔されることが最も記憶に残るので、「大事なときに限って……」と思えてくるのです。

待ち時間が楽しくなる工夫をしよう

こんなときは、「大事なお電話だから、今はだめ」ときっぱりと伝えるとともに、「これが終わったら、○○に電話しようね」と伝え、期待を持たせます。

それでも待てない場合は、他に興味や関心を持ちやすいおもちゃなどを見せて、待ちやすくする工夫も必要です。そして、もし待てたら、「すごいね、待てたんだね」とほめます。

3.人を押しのけて、自分が先にやろうとするケンイチくん(6歳)

……「なんで自分のことしか考えないの?」と恥ずかしくなってしまいますよね。

子どもは他者の状態や心が理解しにくいので、自分より先に並んでいる人がいても、自分が先に乗りたいと、押しのけたり、割り込んだりすることがあります。

その場合、守らねばならないルールがあることや一列に並んで待つ方法、割り込みをされた人の気持ちを考えさせます。その上で、列に割り込みをしてしまった場合は、並んで待っていた人に「すみません」と子どもと一緒に謝り、列の後ろで一緒に待ち、待てたら、ほめます。

ガマンとコントロールの力を養うために

子どもの自己コントロール力を引き出すためには、子どもが理解・納得できるように言葉で説明したり、大人が一緒にすることによって、行動も学べるようにすることが大切です。

さらに、やみくもにガマンさせたり、ルールを厳しく守らせるのではなく、「ガマンしやすい状況を作って、できたらほめる」ことで、ルールの理解や自己コントロールの力は育つでしょう。