登園したくないと泣く子…心の荒れに気づくには

河井英子
2023.03.23 16:07 2023.03.23 16:07

男の子

子どもの心は、幼ければ幼いなりに、繊細で傷つきやすく、もろい存在です。また、成長に応じて傷つき方も異なります。傷ついた心は「荒れ」を引き起こします。

※本記事は、河井英子著『子どもの心を”荒らす親”・”整える親”』(PHP研究所)より、一部を抜粋編集したものです。

河井英子(武蔵丘短期大学教授)
東京都内の教育委員会教育相談室で長年相談員を務め、現職。子どもの心をテーマにした健康の心理学、発達と学習の心理学が専門。

子どもが助けを求める心の叫び

泣く子ども

子どもの生活のさまざまな面で示される「荒れ」は、子どもが助けを求める心の叫びであると思わなくてはなりません。

今の世の中では、私たちはみんな、多くのストレス、困難、多忙、不安や不満などに毎日囲まれていて、常に平穏無事とは限りません。その状態は、子どもの心に有形無形に伝わります。子どもの心を「荒れ」に導く、あまりに多くの原因が存在します。

私たちは、そんな状況から自分自身を守ることも必要ですが、それ以上に、親として子どもを守らなければなりません。子どもの「荒れ」について、じっくりと子どもの身になって理解したいものです。親が自分の立場や価値観のみにとらわれていると、子どもの心は理解できません。

子どもは親の付属物ではありません。親とはまったく別個の存在です。親にとって都合がいいものとは限りません。時には、面倒で厄介で困った存在であるかもしれません。

親の都合を無視する子どもの存在が、親の生活の妨げになると感じることもあります。それでも子どもの存在を認め、その個性を伸ばすために努めていかなければならないのです。

子どもを守ることは、子どもの成長を待つゆとりをもって見守ることであり、長い目を必要とするものです。そのことは親にしかできないことなのです。