子どもを追いつめる 親がやりがちな5つの”NGぼめ”

河井英子

4.ほめながらも不満な点を付け加える

親はつい、子どもへの期待のあまり”指導者”的な評論家になってしまいがちです。無条件にほめるのではなく、何か足りないところを指摘してやらなければと思ってしまうのです。

しかし「もう少しこうすれば良かったのに」「もう少し練習すればもっとうまくなったのに」などと足りないところを指摘され、さらに努力することを強要されて、「今度はもっと頑張ろう」とやる気を出す子どもはほとんどいないでしょう。

子どもが何かに努力・挑戦したとき、親は出来具合を丸ごと受け入れ、ただほめてやらなければなりません。そうすることによって結果的に、「今度はもっと頑張ろう」という気持ちがわいてくるのです。親は評論家ではなく共感者であるべきです。

5.過度にほめる

子育てにおいては、ほめることが重要ですが、だからと言って何もかもやみくもにほめちぎっては逆効果です。

“過ぎたるはなお及ばざるがごとし”です。いつもほめられてばかりいると、ほめ言葉の効果はなくなり、むしろほめられるかどうかばかり気になって、落ち着かなくなってしまいます。

また、ほめられなければという圧力、ストレスを与えていることにもなります。 あくまでも子どもの気持ちにそって、つまり、子どもがほめられたいときにほめるという、ほめのタイミングを正しく計ることが大事です。

ほめることを通して、自信とけじめを身につけさせる

誰しも子どもをほめて育てたいと思っています。ほめることで親と子のハッピーな関係を築いていけたら、こんな幸せなことはありません。しかし、子どもをほめることは簡単なようでなかなか難しく、逆に子どもを傷つけてしまうこともあります。というのも、これまで述べてきたような”NGぼめ”があるからです。

“NGぼめ”によって、子どもの心にひずみが生じたり、誤った方向に導いてしまう危険性があります。 自信がなく、いつも親の顔色を窺ってしまうAちゃん。「自分はどうせダメなんだ。いくら頑張ってもお母さんはもっと頑張れ! って言う」。

親の欲目で、つい要求が高くなってしまうのでしょう。頑張ったときは、無条件で丸ごとほめてやる、それが大切なのです。”NGぼめ”をしていると、親としてちゃんとほめているつもりでも子どもには伝わっていません。子どもは自信がつくどころか自信を失ってしまいます。

また、ほめることは叱ることとセットです。時に叱り、時にほめる、そして、ほめるほうがやや多いのが理想でしょう。

Bちゃんのお母さんは優しくいつも過剰と言えるほどBちゃんをほめていましたが、Bちゃんはちょっと困った子でした。幼稚園で他の子が嫌がることをしたり、泣かせてしまったりすることが、たびたびあったのです。

Bちゃんはお母さんからほめられるようないい子でいたいという思いが強く、お母さんの目が離れるとその気持ちが緩んでしまい、困った行動につながってしまったのだと思われます。

幼児期のお子さんにとって必要なことは、社会人(集団の中に入って)としてのマナーやルールの基礎を身につけることです。

そのためには、適切にほめたり叱ったりされることが必要です。善悪のけじめをしっかり身につけさせる、そのためのほめ言葉、叱り言葉であることも、常に心に留めておきたいものです。