子どもを追いつめる 親がやりがちな5つの”NGぼめ”

河井英子

口先だけのほめ言葉は、子どもに不安やプレッシャーを与えるだけです。では、どんなふうに声をかければ、子どもの自信とやる気を育てることができるのでしょうか?

※本記事は、『PHPのびのび子育て』2016年12月号より、一部を抜粋編集したものです。

河井英子(武蔵丘短期大学教授)
東京都内の教育委員会教育相談室で長年相談員を務め、現職。子どもの心をテーマにした健康の心理学、発達と学習の心理学が専門。

ただ「ほめる」だけでは、子どもには届きません~親がやりがちな5つの「NGぼめ」~

子どもをほめて育てることの重要性は、誰しも認めていることでしょう。ほめられることによって、特に親からほめられることは、子どもにとって大きな自信とやる気を育みます。また自分が親から認められ、愛されているという心の安定感を植え付けます。

しかし、このように子どもの心を良い方向にまっすぐ伸ばしていくようなほめ方をすることは、意外と難しいことでもあります。

それは、ただほめ言葉を発すればいいというものではないからです。子どもの気持ちや状況を的確に捉えた上での言葉でなくてはいけません。口先だけのおざなりな言葉は、子どもの心には届かないのです。

子どもは親の気持ちをちゃんと見抜いています。また、ほめられることが子どもの負担になる場合もあるので、親としてはタイミングよく、適切なほめ方をしたいものです。

安易なほめやタイミングのずれたほめは、効果がないばかりか害にすらなってしまうこともあるのだと心に留めて、十分に注意していきましょう。

次からは、ついやってしまいがちな子どもに届かないNGなほめ方について取り上げます。これらの間違ったほめ方をしていないか、時々、自分を振り返ってみましょう。ほめるときも叱るときも、子どもの気持ちを的確に理解し、親の気持ちを届けていくことがとても大切です。

あなたはどっち!?

「とても上手に描けているね! でも、お母さん、こんなに鼻がまがっているかしら」

→NGなほめ方

良い点を指摘しないでダメなところを指摘したり、お母さんの好き嫌いを述べたりする。

ほめが足りない、届いていないと…
子どもの気持ちの中に満たされない思いが生じてしまいます。「自分はダメなんだ」という思いに陥り、自己肯定感が育ちません。理解されない不満から、他人への信頼感を育てることも難しくなります。

「空の雲がとてもうまく 描けているね!」
「お母さんを 美人に描いてくれて嬉しいわ!」

→OKなほめ方

全体的に大まかにほめるのではなく、子どもが特に心を込めたと思われる点や、細部にまで触れて指摘する。

ちゃんとほめられていると…
子どもは本当にほめられてると感じると、自分に対して自信がもてるようになり、もっと頑張りたい、もっといろいろなことに挑戦したいという意欲が高まっていきます。そして何事にも積極的に取り組んでいくようになるでしょう。