実は解明されていない謎「なぜシマウマはしましま模様なの?」

冨島佑允

①目くらまし説

シマウマが集団で駆けていると、たくさんのストライプ柄が入り乱れて目がチラチラし、肉食動物を欺くことができるという説です。この説にはピンと来づらいかもしれません。サバンナの草原の中で白黒の動物がうろうろしていたら、どうやっても目立つように思うからです。

けれども、私たち人間は色を識別する能力が高いためにそう感じるのです。ライオンなどのネコ科の肉食獣は色を識別する能力が非常に弱いので、彼らには世界が白黒テレビの映像のように見えています。草の緑色も、木の茶色も、花のピンク色もライオンには白黒に見えるのです。ですから、白黒の世界の中でシマウマの白黒ストライプがチラチラすると、確かに目くらましになるのかもしれません。

けれども、この説は確たる証拠に支えられているわけではありません。実際にサバンナでは、ライオンが毎日のようにシマウマの集団に突進していき、哀れな獲物が捕らえられています。本当に目くらましになっているのかはあやしいとも言えそうです。

②体温調節説

次は少しわかりにくい話になるのですが、ストライプが体温調節に役立っているという説もあります。シマウマのストライプは白と黒ですが、黒い色は熱を吸収しやすく、白は吸収しにくいことで知られています。みなさんも小学生の時に、虫メガネで太陽の光を集め、紙に当てて燃やす実験をしたことがあるかもしれません。黒い紙だとすぐに燃え始めますが、白い紙だとなかなか火が付かなかったでしょう。

シマウマの体でも同じようなことが起きていて、太陽の光で黒い部分がより温まる一方で、白い部分はなかなか温まりません、その結果、体の表面に温度差が生じます。そうすると、温度差によって空気の流れが発生し、身体を冷やすというのです。シマウマのストライプは扇風機代わりということでしょうか。

この説はとてもおもしろいのですが、白い部分と黒い部分の温度差があまり大きくないため、たいして風は起きないという説もあり、はっきりしたことは分かっていません。

③社会的役割説

もう一つの代表的な説として、仲間を見分けやすくするために、目立つ模様になっているというものがあります。確かに、動物の皮膚や毛の色なんてバリエーションが限られていますから、思い切り目立つ柄をしていれば、同じシマウマの仲間を一発で見分けることができて、迷子にはなりにくいかもしれません。シマウマは草食獣なので、集団で肉食獣を警戒することがとても重要になります。仲間からはぐれると一方的に襲われてしまうのです。

しかし、この説にも疑問があります。サバンナには、シマウマの他にもガゼルやヌーなどの草食獣がたくさんいますが、そのほとんどは目立たない色をしています。けれども彼らは、立派に集団行動をしているのです。仮にこの説が正しいとすると、なぜ他の草食獣は目立つ柄に進化しなかったのかという疑問が生じます。

結局のところ、シマウマがなぜしましまなのかは、未だ謎のままです。それを解明するのは、もしかしたらあなたかもしれません。

それにしても、そのような立派な模様はどうやって作られるのでしょうか?その話をするまえに、しましまの謎に迫る話を紹介しましょう。
シマウマは馬とそこそこ近縁なので、シマウマと馬を掛け合わせて子どもを作ることができます。その子供は「ゼブロイド」と呼ばれしましま模様を持つのですが、シマウマに比べると縞の感覚が狭く、色のコントラストもはっきりしていないことが知られています。馬には縞模様がないので、色のコントラストが下がるのは何となくわかりますが、縞の間隔が狭くなるのはなぜなのでしょうか?