実は解明されていない謎「なぜシマウマはしましま模様なの?」

冨島佑允

春から新学年、新入学のお子さんも多いと思います。新しい学年を前に予習復習を春休みにしないと、と意気込む前に、毎日の暮らしの中にある「数学」に目を向けてみませんか。

月齢が小さいお子さんは「なぜ」「どうして」がいっぱいの毎日を過ごしています。ふだんの暮らしの中の「不思議」のウラには実は数学が潜んでいます。

京都大学物理学専攻出身で、数学に造詣が深い冨島佑允さんの著書『日常にひそむ うつくしい数学』では自然や社会を影から動かしている数学の秘密を、が解き明かしています。ここでは、同書より「シマウマの縞模様の謎」について解説した一節を紹介します。

※本稿は冨島佑允著『日常にひそむ うつくしい数学』(朝日新聞出版刊)より一部抜粋・編集したものです。

【著者・冨島佑允(とみしまゆうすけ)さんプロフィール】
1982年福岡県生まれ。京都大学理学部卒業、東京大学大学院理学系研究科修了(素粒子物理学専攻)。MBA in Finance(一橋大学大学院)。大学院時代は欧州原子核研究機構(CERN)で研究員として素粒子実験プロジェクトに参加。修了後はメガバンクでクオンツ(金融に関する数理分析の専門職)として各種デリバティブや日本国債・日本株の運用を担当、ニューヨークのヘッジファンドを経て、2016年より保険会社の運用部門に勤務。

シマウマは、どうしてしましまなの?

サバンナには多くの種類の動物が生息していますが、なかでもシマウマはひときわ目立つ存在です。真っ白と真っ黒のストライプ柄は、まるでファンタジーの世界から飛び出してきたかのように鮮やかです。クジャクもそうですが、鮮やかな模様や色合いを持つ動物は、私たちの心を惹きつけてやみません。

けれども、シマウマはあんなに目立っていて大丈夫なのでしょうか?普通に考えると、目立つ模様をまとっていると肉食動物に見つかりやすいので、生存には不利な気がします。

実のところ、シマウマがなぜあんな模様を持っているのかはいまだに解明されていません。

いくつかの説がありますが、いずれも決め手に欠けています。例えば、次のような説です。