子どもの長所に目を向けるために 大切な3つのこと

原坂一郎

どんな子どももすばらしい長所をもっています。それが見えるか見えないかで、子育ての楽しさは大きく違ってくるものです。わが子の長所に目を向けるために、3つのことを意識してみましょう。

※本稿は、『のびのび子育て』2014年9月号の特集「子どものやる気を100倍にするほめ方の魔法」より一部抜粋・編集したものです。

原坂一郎(はらさか・いちろう/こどもコンサルタント) 関西大学社会学部卒業後、独学で保育士資格を取得。23年間にわたる保育所勤務を経て独立し、現在は、保育・子育ての講演・講座・研修を精力的にこなす。著書に、『日本一わかりやすい 男の子の育て方の本』(PHP研究所)など多数。

(1)”ほめどころ”は”やって当たり前のこと”の中にある

食事の前に手を洗った、靴を揃えて脱いだ、絵本の読み聞かせを騒がずに聞いた……そういった普段当たり前のようにやっているものの中にこそ、”ほめどころ”が隠されています。

それらは決してやって当たり前ではなく、どうしても子どもがそれをできないと言って悩んでいらっしゃる親御さんがおられるほどの、素晴らしい行動なのです。そういう目で子どもを見てみると、たくさんの”ほめどころ”があることに気づきます。

呼べば「ハイ」と返事をする、「いただきます」を言う、きちんと並ぶ……、子どもは、大人でさえできない人がいるすばらしいことを、毎日たくさんやっているのです。

(2)”やらないとき”ではなく”やったとき”に気づく

親は、わが子がやらなかったときはすぐ気づき、文句も言うけれども、ちゃんとやったときは気にも留めないことが多いもの。

例えば子どもがあいさつをしなかったり、お片づけをしなかったときは注意をしますが、それらをちゃんとしたときは何も言わなかったりします。

子どもがきちんとできたときもちゃんと気づき、それを評価する目をもっていると、自然に子どもの長所に気づけるようになっていきます。

やったときは気づかれもせず、やらなかったときだけ叱られる、を繰り返すと、叱られないと動かない子どもになることもあり、注意が必要です。

(3)”消えたもの”が見える目をもつ

なかなかハイハイをしない赤ちゃんには「ハイハイをしない」と悩み、ハイハイをするようになると「なかなか歩かない」、歩くようになると「さっさと歩かない」、と子どもが何歳になっても、次々と悩みを抱え込むものです。でも待ってください。

少なくとも1年前に困っていたことからは、今、解放されているのではないでしょうか? 「前は〇〇で困っていたのに、今は大丈夫」。

親だけは子どもの「消えてなくなったもの」が見えるのです。”消えたもの”に気づけるようになったとき、子どもの短所ではなく長所がしっかり見えるお母さんになっていますよ。