なぜNG?「せっかち言葉」と「禁止言葉」子どもには失敗をさせよう!
忙しいお母さんが日常的に使ってしまいがちなのが、「早くしなさい!」などの「せっかち言葉」と「ダメじゃないの!」などの「禁止言葉」。これらの言葉は子どもの心にどう影響するのでしょうか。
※本稿は、『PHPのびのび子育て』2019年10月号特集「『早く!』『ダメ!』と言わないほうが子どもは伸びる!」より、一部を抜粋・編集したものです。
shizu(ASD発達支援アドバイザー)
親子で場面緘黙の経験を持ち、長男が3歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断される。その子育て経験とASDの子どもへの訪問療育での学びから『発達障害の子どもを伸ばす魔法の言葉かけ』(講談社)を出版。20万部となる。他に、『「言葉かけ」ひとつで行動が変わる!子どもの叱り方・伝え方』(PHP研究所)、『発達障害の子と親の心が軽くなる ちゃんと伝わる言葉かけ』(KADOKAWA)、ブログ「発達障害の子どもを伸ばす魔法の言葉」。
早くして!のひとことが「動かない子」に…
朝の忙しい時間帯、「早くして!」を連発し、眉間にしわを寄せていることはありませんか?私は気を抜くと、ついこの言葉が出そうになり、飲み込んだことが何度もあります。もちろん、たまには口から出てしまうことも……。
お母さんたちは時間に追われています。「早くして!」と子どもをせかしたい気持ちになるのも無理はありません。
でも、「早く!」と言われ続けた子どもは、残念ながら「早く動かない子」になるか、心理面でマイナスの影響を受ける可能性があります。
子どもがなかなか動かない場合は、お母さんの「早く!」の言葉は、子どもに届いていません。お母さんのうるさい言葉を「聞き流していいもの」と考え、反応しなくなることも……。
結局、子どもが動かないので、お母さんがイライラしながら子どもの世話をするという状況が続くことになります。
また、子どもの自我が目覚めてくると、「早くしなさい!」の言葉に反抗心を募らせ、頑なに言うことを聞かない子になる可能性もあります。
生まれつき敏感で、不器用な子どもの場合、「早く!」と何度もせきたてられたことにより、「またお母さんに怒られた」「自分はグズなんだ」「自分はダメな子」と自己肯定感が低くなります。
そして、自分で考えて何かをしようとする余裕がなくなり、指示がないと動けない子、何事にも主体性のない子になってしまうでしょう。
「早く! 早くして!」とせかされることが続くと、焦りから注意散漫になり、作業の取り組みも雑になり、ケアレスミスが多くなることもあります。
また、親に「急ぐこと」を常に求められた経験により、友だちに対しても「急ぐこと」を強要し、良好な人間関係を保つことが難しくなる場合もあるでしょう。