「トラブル」に負けない子を育てる!
○コペルニクス的理解力……他者を思いやれる子に育てる
幼児にとって生活圏は自分を中心にまわる「天動説」の世界です。そのため、自分にだけふりかかるトラブルは解決できても、相手がいたり自宅の外だと思うようにいきません。
その昔、ポーランドの天文学者コペルニクスが天動説を地動説に180度論理を覆したように、子どもは自分が「大勢のうちのひとり」であって主役ではないとわかると、それまでの無邪気な「万能感」が壊れ、ショックを受けるでしょう。
でも何度かこれを経験するうちに、自分と他者を置き換えて、他者の思っていることや心象を理解できるようになります。
理解と迎合は違う
日本人は「察する文化」で、他者を気づかう民族性です。社会生活に入る前に「地動説」が身についているとよいのですが、この気づかいが行き過ぎると困ることになります。
他人の目が気になって引っ込み思案になったり、失敗やトラブル発生をおそれて自分からは積極的に行動をおこさない子になるおそれがあるからです。
他者を理解するのと他者に迎合するのはまったく別物だということを、トラブル解決の過程で繰り返し伝えておきましょう。
○自分の気持ち表現力……自分の言葉で話せる子に育てる
子どもの暮らしを何から何まで仕切りたがるマネージャータイプの母親がいます。ツライ目にあわないように、困らないようにと親にガードされてばかりだと、いざトラブルがおきたときに子どもは自分の思いをどう表現していいのかわかりません。
こんな「内弁慶」な子もかつては「学校に入れば変わる」と周囲もゆったりと構えていましたが、現代では家にこもってゲームやネットに没頭して「内弁慶」のまま成人することも少なくありません。
思いを言葉にできるまで聴く
表現力をつけるにはまず「しゃべる機会」を増やすことが大切です。
たとえ勘違いした意見でも、夢や作り話でも、最後まで聴いてもらえれば自信がつきます。トラブルに遭遇したときに口先だけで「ごめんなさい」を連発してもダメなのです。
自分が何を伝えたいのかを頭のなかでハッキリさせ、なぜそう思っているのかを自分の言葉で言えるまで、親はうなずきながら辛抱強く聴いてあげましょう。自分の気持ちがわかれば、トラブルの解決策は自然に出てきます。どんな表現でも「自分の言葉」であることをほめましょう。