「トラブル」に負けない子を育てる!

宮本まき子

トラブルを避けて通らせたいのは親心。でも、強さを育てるためにトラブルは必要なのです。

※本稿は、『PHPのびのび子育て』2012年11月号から一部を抜粋し、編集したものです。

宮本まき子(心理カウンセラー)
津田塾大学卒。22年間の電話相談室勤務で子育て・家族・心理・教育問題を担当。その実績を生かして執筆活動に入り、新聞・雑誌への寄稿、講演会などに忙しい日々をおくっている。

小さなトラブルが子どもを強くする!

「元気でやさしい子」は親の理想像。でも東日本大震災と津波、その後の原発事故や、長引く不況、また犯罪に近いイジメなど、急速な社会環境の変化のなかで、やさしい子の将来が不安になるかもしれません。

これからは「逆境に負けず少々のことにへこたれない、しなやかだけど強い心を持つ子」つまり「タフな子」に育てる意識を持ちましょう。

「困難や嫌な経験はさせたくない」と子どものトラブルの種を事前に摘みとり、親だけで解決しようとするのは子どものためになりません。トラブルは子どもが「問題解決のプロセスと能力」を学ぶ絶好の機会です。逃すなんてもったいない。親が上手に手助けして、その体験を糧にさせましょう。

トラブル体験から身につく3つの力

・サバイバル力
・コペルニクス的理解力
・自分の気持ち表現力

○サバイバル力……ピンチはチャンスの子に育てる

赤ちゃん時代は、ところかまわずぶつかったりしていたのが、幼児期になるとおさまります。それは自分も痛い体験をしながら、「危険察知力」をつけていくためです。

この「アブナイ!」感覚は誘拐などの犯罪を防ぎ、車道に飛び出すこともありません。トラブルは「非日常的で突発的な出来事」で、子どもにとって未経験なことばかりです。親が安易に解決法を教えたり勝手に対処するのは「カンニング」で、本物の学習にはなりません。

子どもの心に寄り添って、感じる力と心の声を引き出してあげましょう。

愛する人を喜ばせたい子に

「生き抜く力」は肉体面や生活面でもつける必要がありますが、大事なのは精神面です。自分の命を守ることや、困難を乗り越えることは「愛してくれる人たち」を喜ばせること。

その想いが根底にあれば、トラブルが発生しても逃げ腰にならず、むしろ「ピンチはチャンス」でポジティブに立ち向かう子どもになります。