子どもの「ドリームサポーター」になろう! 夢を育む魔法の会話

石田勝紀(教育評論家)

親として、子どもの夢を応援できていますか?子どもの夢を応援するには、親はどのような対応をすればよいのでしょうか。石田勝紀さんが解説します。

※本稿は、石田勝紀著『中学受験に合格する親子の「魔法の会話」』(PHP研究所)より、内容の一部を抜粋・編集したものです。

石田勝紀 (いしだ・かつのり)
教育評論家。20歳で起業し、学習塾を創業。その後、中高一貫私立学校の常務理事に就任し、大規模な経営改革を実行するとともに教師の指導力を高める。講演会や企業での研修会は毎年150回以上にのぼる。教育デザインラボ代表理事、都留文科大学特任教授。

夢は強制されて持つものではない

やる気になれる要因のひとつに「夢を持つ」というのがあります。

しかし、この「夢」という言葉はとても曲者で、大人は夢のある子どもを、それこそ夢見ているのです。そうするとややこしいことが起こります。

それは、夢を持っていない子に「大丈夫か?」と感じてしまうことになるのです。そして夢を持たせようとあれこれ画策することすらあります。すると、これは強制されて持った(夢を言わなければならないから言った)夢であり、本当の夢ではないのです。

例えば、家庭が代々医者の家族であった場合、親が「お前は医者になるんだからな」と言うことでレールを敷いていくことがあります。開業医はできれば、家業を継いでもらいたいと思うのは当然で、そのような”計画”を立てることはあるでしょう。

しかし、子どもが医者になることを嫌がり、仕方なしに親に言われるまま進んだ場合に、悲劇になる場合があります。

そうやって現在、仕方なしに医者をしている方から何通も相談メールをいただき、「自分はそのように育てられたけど、自分の子どもにはそうはさせたくない」という方もいました。

法学部→弁護士というコースも同じで、一般に文系であれば法学部、理系であれば医学部が偏差値が高いというイメージがあるため、その理由だけで、法学部→弁護士コース、医学部→医者コースを選択していくと、後々、後悔する場合もあるのです。

本人が希望して行くのであれば、何の問題もありません。小さいときに病気がちで医者に助けてもらった経験から、自分も人を助けたいから医者になりたいというのは本物の夢ですね。

アレルギー体質であった経験から、薬剤師になりたいというケースもたくさん見てきました。

これを「夢の原体験」といいます。このような夢の原体験があると、夢はかなりの起動力になります。しかし、このような原体験がなくても問題ありません。やがて、自分のやりたいことに出合っていくことが一般的ですから。

以上から、夢というのは強制されて持つものではなく、自然と、自発的に生まれてくるものであるということを言いたかったのです。

そして、やがて、そのように自然と出てきた夢(○○中学に合格する! ということも夢のひとつ)である場合、親としてどのように対応していけばいいでしょうか。