学習とスポーツに必要な「心と体の土台」の育て方

親野智可等

頭のいい子に育ってほしい、運動が得意な子になってほしい……。それなら、幼児期から学童期にかけて、そのための土台をきちんと育てておかなくてはいけません。

自己肯定感・自己実現力・他者信頼感・地頭のよさ……これらを育てておくことが大事です!

※本記事は、「PHPのびのび子育て」2018年5月号特集「3歳、7歳が分かれ道 勉強も運動もできる子になる!」より、一部を抜粋編集したものです。

【筆者紹介】親野智可等 (おやの・ちから)
教育評論家。23年間の小学校教師経験を活かした的確でわかりやすいアドバイスには定評がある。全国各地の小・中学校や幼稚園・保育園のPTA、市町村での教育講演会も人気。著書に、『「自分でグングン伸びる子」が育つ親の習慣』(PHP研究所)など多数。

土台がしっかり育っていないと……自主性がなく、自ら行動できない子に

遊びの中で”楽しい、わくわくする”体験をたくさんしている子は、「自分はできる」という自己肯定感と「やってみたい」という意欲が育ち、勉強でも運動でも主体的に動けるようになります。

こうした体験が乏しい子は、「言われればやる。でも、自分からは動けない」状態になりがちで、伸び悩みます。

「勉強も運動もできる子にしたい」という思いから、幼児期や学童期の子に早期教育プログラムをやらせたり、運動教室に通わせたりする親は多いです。

でも、実はもっと本質的に大切なことがあり、それはなんと「遊び」です。この時期に自分がやりたい遊びを毎日思う存分やれている子のほうが、先々の勉強や運動で後伸びするのです。これは発達心理学の実証的な研究によって明らかになっていることです。

たとえば、内田伸子・お茶の水女子大学名誉教授らの調査によりますと、偏差値68以上の難関大学合格者の親の35 .8%が、入学前に「思いっきり遊ばせること」を重視していました。

また、24 .1%が「好きなことに集中して取り組ませること」を重視。遊ばせ方についても28 .8%が「自発性を大事にした」と回答したのです。そうでない子の保護者では、1つめが23 .1%、2つめが12 .7%、3つめが16 %にとどまっています。

運動能力についても、一斉運動の時間を設けている幼稚園や保育園、あるいは運動教室に通う子たちより、好きな遊びの中で自由に走ったりぶら下がったりしている時間が長い子たちのほうが、運動能力が高いという結果が出ています。

これらは幼児期についての研究ですが、私は教師として小学生を長年指導してきた経験から、学童期についても同じことが言えると思います。