ダラダラ着替える3歳児…どうすればよい?
植松紀子先生『[1~6歳]子どもにさせていいガマン・わるいガマン』では、子どもに不要なガマンと必要なガマンとはどんなものなのかを子どもの年齢別に解説しています。 ここでは、3歳児のケースをご紹介します。
※本稿は植松紀子著『1~6歳子どもにさせていいガマン・わるいガマン―「ガマンしなさい!」と怒らずにすむ』(PHP研究所)から一部抜粋・編集したものです。
植松紀子(植松メンタルヘルス・ルーム主宰)
日本大学心理学科卒業。臨床心理士、日本大学講師。武蔵野赤十字病院こどもの相談室、神奈川県内の児童相談所、「こどもの城」小児保健部を経て、現在「植松メンタルヘルス・ルーム」を主宰。自治体の乳幼児健診にも携わり、多くの母親の悩みを聞いている。二児を育てた経験と5人の孫と過ごす日々、40年間育児相談を受けてきた経験に基づく子育てノウハウには定評がある。
ちょっとだけ甘えさせてあげる
【場面】3歳児「ダラダラ着替えている」
→ガミガミ怒らず、手伝ってやる
朝、起きてきたのにボーッとして、なかなか着替えない。とくに寒い時期は布団からなかなか出てこないし、やっと出てきたと思ったら暖房の前でダラダラしている。こういうことは、よくありますよね。
「ダラダラしてないで、早く着替えなさい!」
「もう、ごはんの時間でしょ。幼稚園に遅れちゃうわよ!」
イライラしたお母さんがせかしても、いっこうに着替えようとしない。むしろ、言えば言うほどかたくなになってしまう、というのも、このくらいの年齢の子にはよく見られます。
そんなとき、叱り飛ばして無理やり着替えさせるのは、じつは不必要なガマンです。大人でも、なんとなく気分がのらないとか、ダラダラしてしまうときがありますよね?
子どもにだって、「やりたくない」気分のときがあるのです。それを、頭からガミガミ言ってしまっては、ますますイヤな気持ちをつのらせるだけです。
グズグズしている子どもを前にしたとき、お母さんは、子どもの「イヤだ」という気持ちをくんであげてください。
「着替えたくないんだ? じゃあ、今日はお母さんがボタンひとつ、はずしてあげようかな~」と、ちょっとだけ手伝ってあげたり、「ばんざーい! それーっ」と、脱がせてあげればいいのです。
「もう一人で着替えられるのに、手伝わなきゃいけないの?」と思うかもしれませんが、子どもが「やりがくない」という気持ちを抱えているときには、その気持ちを引き受けてあげることも大切なのです。
ちょっとだけ甘えさせてあげることで、子どもは満足します。
甘えさせてもいい
「一度甘えさせたら、それがずっと習慣になってしまうのでは?」
と心配するお母さんもいます。でも、大丈夫。そんなことはありません。
もしかしたら、次の日も「またやってー」と言うかもしれませんが、長続きはしません。普段、一人できちんと着替えができるような子であれば、たぶん、1~2回手伝ってあげれば、あとは自分でどんどんやるようになります。
「自分でできるんだから、自分でしてほしい」と思う親の気持ちもわかりますが、なんでもかんでもかっちりとはいきません。
自分で「ガマンしなきゃ」と思いながら耐え、自分を奮い立たせてがんばることができるようになるのは、せいぜい中学生くらいになってからのこと。就学前の子どもには、とても無理です。
ときには親のほうがガマンして、子どもの気持ちをくんであげることも、この時期にはまだ必要なのです。
1~6歳 子どもにさせていいガマン・わるいガマン―「ガマンしなさい!」と怒らずにすむ
「早く!」「ダメ!」 当然のようにさせているガマンの大半が、実は、させる必要がありません。不要なガマンと必要なガマンとはどんなものなのかを子どもの年齢別に紹介しています。