動物を40年研究してわかったこと…子どもの自立心は朝に育つ

島泰三

昼行性の”動物”である私たちにとっての「理想の朝」と「子どもの自立」について、動物学の権威にして孫育てのスペシャリストである島先生にうかがいました。

※本稿は、『PHPのびのび子育て』2014年4月号から一部を抜粋し、編集したものです。

島泰三(動物学者)
1946年山口県下関市生まれ。東京大学理学部人類学科卒業。理学博士。アイアイ生息地の保護、飼育下での繁殖につとめる。隔月刊『孫の力』(木楽舎)の監修もつとめる。著書に『戦う動物園』『孫の力――誰もしたことのない観察の記録』(共に中公新書)などがある。

朝時間を磨けば人生がイキイキする

私は動物の生態の研究者として40年以上ニホンザルやアイアイなどの野生のサルを観察してきました。「遊ぶことは生きること」という言葉がぴったり当てはまるような日常を過ごすサルを見てきた経験は、11年前に初孫が誕生してからも大きく活かされています。

サルは夜明けとともに動き出し、食事をすませると日中はひたすら遊んで過ごす「昼行性」の生き物です。ヒトも同様に昼行性ですから、朝は元気に目覚め、活動をスタートさせるのが生き物としては当然のありかたです。

しかし、人間の世界では朝から時間に追われ、夜になってようやく自分のやりたいことができるようになるという「夜型生活」になっているので、子どもに対してもつい、せかしたり、叱ったりとゆっくり構えられなくなっているのではないでしょうか?

体の「本来の力」を呼び覚まそう!

人間にとって、特に脳と体が大きく発達をとげる0歳から5~6歳の時期は、本来の昼行性リズムをしっかりと体に刻みつけることが大切です。

まず夜は部屋を暗くし、早めに眠ることから始めてみましょう。朝、眠いときは大きいあくびで脳に酸素を送りましょう。

朝の目覚めを良くするには、目が覚めたらすぐに手指、足指をグーチョキパーと動かして体の末端に刺激を送ると、全身の血液のめぐりが良くなります。朝を元気に迎えて日中は「遊び」の時間を大事にすることが、健やかな成長を支えていくのです。

【column】3つのコツで気持ちいい朝を迎えよう!

手軽にできる以下のコツでつらい目覚めを快適な1日のスタートに変えましょう。

(1)夜、暗くして早寝する習慣を作ることで、朝の目覚めがすっきり!
(2)伸びをしながら大あくびをすると、脳に酸素が運ばれて気持ちのいい目覚めに!
(3)手指、足指をグーチョキパーと動かして刺激を送ると全身に血液がめぐり、朝から活発に!