親の「どうしてできないの?」が子どもに与える悪影響

大野萌子

スモールステップで成長を見守る

子どもは成長の過程でいろいろな物事を覚えていきます。できることより、できないことのほうが多いのは当たり前ですよね。

それを「どうしてできないの?」「なんでできないんだ」と責めても、本人はまだやりかたがわからないだけかもしれません。

まず「どうしたらできるかな?」「どこがむずかしい?」と聞いてあげましょう。そして、わからないことやむずかしいことがあれば、わかるまで教えてあげてください。

すでに子どもがわかっていることでも、やらないことがあります。たとえば「約束は守ること」と教えたのにそれを破ったら、注意しなければなりません。

その場合も「なぜ約束を守れないの?」と過去を「否定形」で問うのではなく、「どうすれば約束を守れるようになる?」と未来に向けた「肯定的な声かけ」をします。

×よけいなひと言 「どうしてできないの?」
◎わかりあえるひと言 「どうしたらできるかな?」

「どうしてできないの?」という言い方は、本人に問題があるという人格否定にもつながります。「どうすればできるようになる?」と「行動」の問題解決に向けた話し合いをしましょう。

子どもにとって難しいことや過剰なことを要求し、「いつになったらできるの?」「この前も教えたじゃない!」と圧力をかける親もいます。

けれども、量やレベル的に無理なことを1人でスムーズにこなせるわけがありません。

本人に合ったことを「スモールステップ」で、手伝ってあげながら教えることが、子どもの成長をうながします。

よけいなひと言をわかりあえるセリフに変える 親子のための言いかえ図鑑(サンマーク出版)
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