家におもちゃが散乱…発達障害の子が「片づけられない」5つの理由

村田しのぶ
2024.07.10 22:51 2023.05.10 11:50

片づけられるようになる「魔法の言葉」と手立て!

ママの話を聞く子

「どこに片づければいいかわからない」場合

この場合は、片づける箱に、①本、②ブロック、③おもちゃなど、片づける物の写真を貼っておきます。すると、子どもにも、何をどこに片づければよいかがわかり、スムーズに片づけられるようになります。

片づけることができたら、「よくできたね」と褒めます。褒めることが大事です。

「もっと遊びたい」場合

最初に「遊ぶ」時間を子どもと相談して決めます。「○時まで遊んだら、そのあと、いっしょに片づけをしようね」と約束をします。もし、時刻が読めなかったら、タイマーをかけて終わる時間を知らせます。

時間に気づいたら「よく時間に気がついたね、さあ、いっしょに片づけようね」と、声をかけます。

ここで大事なのは、最初は「いっしょに片づけてあげること」です。なぜなら、子どもはまた遊びたい誘惑にかられてしまうからです。そこで片づけをする習慣が身につくまでいっしょに片づけます。

次に大事なのは、「あとは、任せたよ」と徐々に手を引いていくことです。片づけができたら「えらかったね、よくできました」と、また褒めます。

「ほかのことが気になり、片づけを途中で放り出してしまう」場合

この場合も最初は、「いっしょにお片づけしようね」と声をかけます。そしてほかのことが気になる前に、「片づけ競争だ! ヨーイどん、1番は誰かな?」と言うと、子どもは負けたくないので、せっせと片づけに集中します。

できたら、「1番だ! すごい!」と褒めると、次回も「片づけマン」に変身します! 片づけ競争というゲームに誘い込むことで、ほかのことに気をそらさない子どもに成長します。

「そもそも片づけが嫌い」な場合

誰でも片づけは嫌いです。小さい頃はとくにそうです。でも、片づけをすると何かいいことがあるとなると、子どもにとっても話は別です。

そこで、最初に「片づけが終わったら、おやつを食べよう」とか、「片づけが終わったら、公園に行くよ」など、子どもが好きなことを予告しておくと、やる気スイッチが入ります。

できたら「早い! えらい! さすが、○○ちゃん! 大好きなおやつを食べようね」と褒めてあげると、次回も片づけマンに変身します。

「誰に言われているのかわからない」場合

子どもの場合、とくに何かに夢中になっていると、自分に言われていると気がつかない場合が多いのです。そんなときは、子どもの目をしっかり見て(キミに言ってるんだよ、とわからせるため)「おもちゃを片づけようね」と声をかけます。

笑顔で「片づけの時間だよ〜」とやさしく言ってあげると、ぼんやりしていた子どもにも伝わります。1人で少しずつ片づけられるようになるまで、いっしょに片づけを手伝います。

やる気がなくなる、言ってはいけない言葉

やる気スイッチを入れる「魔法の言葉」を紹介しましたが、逆に、次の言葉は絶対に言ってはいけない「タブーの言葉」「禁句」です。

×「次からは、もっと早く片づけなさいよ」
×「今度は、言われなくても片づけるのよ、できてあたり前なんだから」
×「なんだ! やればできるじゃない、いつもちゃんとやってよね!」
×「いつもこうだといいんだけど……。しっかり片づけてね」

こんなふうにイヤミを言われると、せっかくがんばって片づけたのに、「もう、片づけなんかするもんか」と思ってしまいます。

子どもが片づけをしたときには「タブーの言葉」ではなく、「○○ちゃん、片づけができて、すっご〜い、えらいね!」などのやる気スイッチを入れる「魔法の言葉」を使うようにしてください。

村田しのぶ

秦野市就学指導教育支援員、公立小学校特別支援非常勤講師、保育所等訪問支援員、放課後等デイサービスにて児童支援員。

神奈川県綾瀬市、秦野市立小学校の普通学級教諭を15年務める。その際、学級の中に自閉スペクトラム症、場面緘黙症など、さまざまな発達障害の児童がいたことがきっかけで特別支援を要する児童の教育に関心を持ち、その後、特別支援学校教諭の免許を取得し、特別支援学級を25年以上にわたって担当する。

発達障害&グレーゾーンの子どもが「1人でできる子」になる言葉のかけ方・伝え方

発達障害&グレーゾーンの子どもが「1人でできる子」になる言葉のかけ方・伝え方(日本実業出版社)
長年、小学校の特別支援学級で先生として、家庭では発達障害の子どもを育てる母親として、発達障害やグレーゾーンの子どもを支援してきた著者による、効果的な接し方や才能を伸ばすノウハウをわかりやすく解説。子どもたちが笑顔でのびのび成長し、将来の自立にむけて「1人でできる力」をぐんぐん伸ばせる!