家におもちゃが散乱…発達障害の子が「片づけられない」5つの理由

村田しのぶ

片づけられるようになる「魔法の言葉」と手立て!

「どこに片づければいいかわからない」場合

この場合は、片づける箱に、①本、②ブロック、③おもちゃなど、片づける物の写真を貼っておきます。すると、子どもにも、何をどこに片づければよいかがわかり、スムーズに片づけられるようになります。

片づけることができたら、「よくできたね」と褒めます。褒めることが大事です。

「もっと遊びたい」場合

最初に「遊ぶ」時間を子どもと相談して決めます。「○時まで遊んだら、そのあと、いっしょに片づけをしようね」と約束をします。もし、時刻が読めなかったら、タイマーをかけて終わる時間を知らせます。

時間に気づいたら「よく時間に気がついたね、さあ、いっしょに片づけようね」と、声をかけます。

ここで大事なのは、最初は「いっしょに片づけてあげること」です。なぜなら、子どもはまた遊びたい誘惑にかられてしまうからです。そこで片づけをする習慣が身につくまでいっしょに片づけます。

次に大事なのは、「あとは、任せたよ」と徐々に手を引いていくことです。片づけができたら「えらかったね、よくできました」と、また褒めます。

「ほかのことが気になり、片づけを途中で放り出してしまう」場合

この場合も最初は、「いっしょにお片づけしようね」と声をかけます。そしてほかのことが気になる前に、「片づけ競争だ! ヨーイどん、1番は誰かな?」と言うと、子どもは負けたくないので、せっせと片づけに集中します。

できたら、「1番だ! すごい!」と褒めると、次回も「片づけマン」に変身します! 片づけ競争というゲームに誘い込むことで、ほかのことに気をそらさない子どもに成長します。

「そもそも片づけが嫌い」な場合

誰でも片づけは嫌いです。小さい頃はとくにそうです。でも、片づけをすると何かいいことがあるとなると、子どもにとっても話は別です。

そこで、最初に「片づけが終わったら、おやつを食べよう」とか、「片づけが終わったら、公園に行くよ」など、子どもが好きなことを予告しておくと、やる気スイッチが入ります。

できたら「早い! えらい! さすが、○○ちゃん! 大好きなおやつを食べようね」と褒めてあげると、次回も片づけマンに変身します。

「誰に言われているのかわからない」場合

子どもの場合、とくに何かに夢中になっていると、自分に言われていると気がつかない場合が多いのです。そんなときは、子どもの目をしっかり見て(キミに言ってるんだよ、とわからせるため)「おもちゃを片づけようね」と声をかけます。

笑顔で「片づけの時間だよ〜」とやさしく言ってあげると、ぼんやりしていた子どもにも伝わります。1人で少しずつ片づけられるようになるまで、いっしょに片づけを手伝います。

やる気がなくなる、言ってはいけない言葉

やる気スイッチを入れる「魔法の言葉」を紹介しましたが、逆に、次の言葉は絶対に言ってはいけない「タブーの言葉」「禁句」です。

×「次からは、もっと早く片づけなさいよ」
×「今度は、言われなくても片づけるのよ、できてあたり前なんだから」
×「なんだ! やればできるじゃない、いつもちゃんとやってよね!」
×「いつもこうだといいんだけど……。しっかり片づけてね」

こんなふうにイヤミを言われると、せっかくがんばって片づけたのに、「もう、片づけなんかするもんか」と思ってしまいます。

子どもが片づけをしたときには「タブーの言葉」ではなく、「○○ちゃん、片づけができて、すっご〜い、えらいね!」などのやる気スイッチを入れる「魔法の言葉」を使うようにしてください。

発達障害&グレーゾーンの子どもが「1人でできる子」になる言葉のかけ方・伝え方

発達障害&グレーゾーンの子どもが「1人でできる子」になる言葉のかけ方・伝え方(日本実業出版社)
長年、小学校の特別支援学級で先生として、家庭では発達障害の子どもを育てる母親として、発達障害やグレーゾーンの子どもを支援してきた著者による、効果的な接し方や才能を伸ばすノウハウをわかりやすく解説。子どもたちが笑顔でのびのび成長し、将来の自立にむけて「1人でできる力」をぐんぐん伸ばせる!