思春期男子が些細なことでキレる本当の理由
ちょっとしたことで不機嫌になったり、落ち込んだり…。子どもの感情の起伏に振り回され、困っている親御さんも多いのではないでしょうか。親子専門の心理セラピストである中野日出美さんに、思春期の男の子特有の不安定な感情について解説いただきました。(イラスト:セコリ[nobico編集部])
※本稿は中野日出美著『言葉にできない気持ちをわかってほしい 思春期の男の子が親に求めていること』(大和出版 )から一部抜粋・編集したものです。
中野日出美(なかの・ひでみ)
一般社団法人 親と子の心理コミュニケーション協会代表理事。日本心理学会認定心理士。心理セラピスト。絵本作家。親子関係の改善を図るセラピーの専門家。
思春期男子は感情の起伏が激しい!
「ちょっとしたことで、すぐにキレるんですよ。かと思いきや、ものすごく落ち込んだりして……」
中1のミキヤス君のお母さんは、息子の感情に振り回されているようです。
思春期の男の子は男性ホルモンのせいで、感情の起伏が激しくなります。
とかく攻撃的で、すぐにイラついたりしたかと思えば、小さなことで落ち込んだり……。
親はすぐにキレる子どもに対して、「ちょっと! その態度は何? 本当にワガママなんだから!」などと、これまたすぐにキレてしまいがちです。
人間の感情は4種類
交流分析という心理学では、「人間の本物の感情は4種類ある」と言われています。
それは、怒り、悲しみ、おびえ、喜びの4つです。
基本的にこの4つの感情は、すべて正しい感情であり、感じて当たり前。
むしろ感じたほうがいい感情です。
「え? 怒りも悲しみも? さらにはおびえも?」と思われるかもしれませんね。
はい、怒りも、悲しみも、おびえも、みんな正しい感情です。
たとえば、自分や自分の大切な存在が傷つけられたら、怒りを感じて当たり前。怒りは、自分や大切なものを守るために必要な感情です。
また、大切な人やものを喪失したら、悲しくて当たり前。
そんなときに、十分に悲しめることが、喪失を乗り越える力になります。
また、たとえば人生がかかっている大事な試験の前は、不安になり、おびえますよね。
おびえるからこそ、危険や失敗に備えて準備ができるのです。
そして、喜びを感じるからこそ、人は幸せでいられます。
このように4つの感情はどれも正しく、必要なものです。