不登校とどう向き合う? 経験者が語る「親子がともに楽になるための考え方」

角舘有理

とことん向き合えば親子ともに楽になる

不登校の子どもを持つ親は、孤独との戦いでもあります。周囲の優しい人たちは、心配して声をかけてくれるかもしれません。ですが、体験していない人にはやはり、この辛さは真に理解することができないでしょう。

しかも、それぞれの家庭の親と子の組み合わせは世界にたった一つ。ケースバイケースです。

「◯◯をするといいらしいよ」
「◯◯に相談したら?」

と勧められることもあると思いますが、他の家庭がやったことをそっくり真似したからといって、自分の家庭に当てはまるとは限らないのです(実証済みです)。

ただ、一つだけいえることがあります。それは、”親が従来の概念や常識の枠から開放され、フラットな気持ちで目の前の子どもに向き合えば、親も子も苦しみから脱出できて、さらに将来に向かって歩き出せる”ということです。

最近ではお母さんだけでなく、積極的に子どもの不登校に取り組んでいるお父さんもあちこちで見受けられるようになりました。私の知り合いにもこういったお父さんがいます。

不登校から脱出した一例を知ってほしくて

多くの不登校の本には、「克服」という二文字が見られます。しかし、私があえて「克服」ではなく「脱出」としたのは、不登校をネガティブに考えてほしくないからです。

本稿は、私たち親子がどんな経験をして、何を考えどう変わったのかを知ってほしくて、執筆することにしました。ここに書くことは、「考え方を変えることで、不登校を気に病まずに親子で楽に生きられるようになった記録」です。そして記録と一緒に、私が「価値観が覆された」と思ったことや、親として考えたことも盛り込んでいます。

不登校の子どもを持つ家庭では、お母さんだけで孤軍奮闘している人、ご夫婦で悩んでいらっしゃる場合と形態は様々だと思います。

実は我が家の場合も、父親が夜遅く朝は早くから出かけてしまってなかなか子育てに参加できない家庭でした。そのため夫婦間での見解の違いや、コミュニケーション不足があったことは認めざるを得ません。

うちの場合は、母親の私がほぼ息子と関わることになりました。そのため、本稿もどうしても母親目線から書くことがメインとなりますが、それでも考え方自体は性別関係ないところにあると思うので、お父さんにもぜひ読んでいただきたいです。

記事を書くにあたり、息子は「不登校で悩んでいる人の助けになるなら、何でも書いていいよ」と言ってくれました。本稿は不登校の子どもを持って苦しむ親に向けて書くつもりです。でも、親が変われば結果的には不登校になっている子ども本人も楽になると思っています。

息子が不登校になってから親子で格闘しているうちに辿り着いた答えを、他の不登校児を抱える多くの保護者の方たちに「一つのケース」として届けることで、一組でも多くの親子が「こういう考え方もありか」と楽な気持ちになってくれたら嬉しいです。