不登校とどう向き合う? 経験者が語る「親子がともに楽になるための考え方」

角舘有理

不登校の前兆はどこもほぼ同じ

不登校の前兆は、朝の腹痛です。多分、この記事を読んでいる保護者の方も、「そうそう、うちも!」と頷いている人が多いですよね? なんとなく朝起きられない日が続き、気がついたら学校へ行けなくなってしまうのは、”不登校あるある”です。

親は子どもが腹痛を訴えた3日目くらいから、「なんだかおかしいぞ?」と思い始めます。というのも、子どもは朝「お腹が痛い」と訴えるので休ませても、だいたいお昼を過ぎたあたりからケロッと元気になって、ゲームなんかしているからです。

そうすると親は「もしかして仮病?」「怠けているだけ?」と訝しんでしまいます。でも、決してそうではありません。

後から調べてわかったことですが、ストレスは自律神経に影響して、本物の腹痛や微熱を本当に引き起こすのだそうです。それも、登校時間というもっともストレスが高まる時間帯に、決まってお腹を壊したりします。体と心ってすごいですよね。本当に直結しているのです。

息子は、お腹や頭が痛くて休んだり遅刻したりするうちに、どんどんその回数が多くなっていきました。そして、なんだか怪しいと思っていると、ついには学校に行きたくないと言い出しました。当然、親としては心配になります。

「これってもしかして、不登校?」

でも、まだ信じたくありません。

「勉強が遅れたらどうするの?」
「もしかしていじめられているのかも……

半信半疑な気持ちとは裏腹に、様々な心配が頭の中を支配していきます。しかし、本人に学校に行きたくない理由を聞いても「ただなんとなく……」と言うだけで、イマイチはっきりしません。

「ただなんとなくなら行けるでしょ!」

というふうに叱っても、子どもは「ただなんとなくだけど動けない」とか「ダルい」とか「お腹が痛い」と言います。すると、今度は何かの病気なのではないかと、次第に心配のほうが大きくなります。

色々考えても学校に行きたがらない理由がわからないので、「今日は行けるのか」「いつになったら朝から行けるだろう」とイライラが募り、親の方もストレスが溜まる一方。それに加えて「不登校」という三文字が頭の中によぎって、さらに不安が高まるのです。

最近ではだいぶ不登校が世間に認められてきましたが、今でも自分の子どもが不登校の当事者になると、焦ったり、悲観したりする保護者の方が大勢います。しかし、忘れてはいけないのは、一番苦しんでいるのは子ども自身だということです。

子ども本人が、苦しんでいることに気づいていない(または目をそらしている)場合もありますが、不登校の子どもの中には学校に行けないことを「こんな自分はダメな人間だ」と悩んだ挙げ句、自ら命を絶ってしまう子もいます。

また、学校に行かないことで悩んでいるのは子ども本人だけでなく、親も同様です。大人は常識や固定観念などから「不登校は烙印のようなものだ」、「学校に行かないと将来がない」と考える人が多いからです。

はじめに言っておきますが、不登校児は社会不適合者ではありません。それに、学校に行かなくても大丈夫です。

でも、「それって天才みたいな特別な才能がある一部の子だけでしょう?」と思う人もいるかもしれません。しかし、息子は秀でた才能があるような特別な子どもではありませんが、それでも大丈夫でした。だから、あなたのお子さんも大丈夫です。

そう言い切れる理由は、これからゆっくりと説明していきますので、ぜひ最後までおつきあいください。

無理に学校へ行かせなくていい 〜不登校を脱出した息子と私の記録〜(ICE(インプレス))
本書は小学校5年生から中学校3年生まで不登校だった息子が、そしてその母親が、親子二人三脚で不登校を”脱出”するまでの軌跡を描いています。子どもの不登校に悩むすべてのご家庭に役立つ考え方のいろはが詰まった一冊です。