中学生の息子が「5年間の不登校生活」から抜け出したキッカケ

角舘有理

学習指導室を利用する

勉強は、家や近所の図書館での勉強をメインに、学習指導室に通うという形でやっていました。学習指導室では基本的に学校にある教材しか使えないため、教科書中心です。それを補うために参考書などで自主学習し、わからないところが出てくると担任の先生に聞いたりしていました。

学習指導室に通うことになったのは、担任の先生のアドバイスによるものです。週に1回のペースで息子の様子を見に来てくれていた先生に、高校を受験したいということと、中学校最後の1年間で、なんとかできるところまで遅れを取り戻したいと相談したのでした。

学習指導室については、息子の完璧主義が良いほうに発動しました。週3回以上通うという目標を、ほとんど達成したのです。おかげで中学3年間分の勉強も、なんとか取り戻すことができました。

通信制高校合同説明会と学校見学

夏休みには新宿で開催された通信制高校の合同説明会に一緒に行き、色々な高校の説明を聞いて回りました。

その中で通いたい高校を数校に絞りました。一口に通信制高校といっても、実に様々な学校があるのですね。個々の学校が打ち出すコンセプトがかなり多種多様だったので、もし通信制高校を検討するなら、合同説明会に行くのはおすすめです。

秋にはそれぞれの学校説明会に行って、実際に学校の雰囲気などを体験しました。息子も「ちゃんと通いきれる学校を自分の目で見て選びたい」と慎重になっていたからです。

やはり、パンフレットを見るのと直接見るのとでは大違いです。パンフレットだけ見て希望していた学校にいざ行ってみると、想像しているのとかなり違うカラーだったということもありました。息子自身が自分に合うかどうかを肌で感じることができたので、こまめに足を運んで良かったと思います。

その中で息子が選んだのは、週の半分だけ登校し、あとはレポートを提出する形の通信制高校でした。この学校は、社会勉強のためのアルバイトも奨励していて、一部では芸能関係やアスリートとして活躍している子どもも通うような通信制高校です。つまり、働くことは問題ありませんでした。

通信制高校の中にはすべてレポート形式で、年に数回スクーリングに出席すれば良いという高校もありました。しかし、息子はそれでは将来社会に出たときの、コミュニケーション能力が養えないと自分で判断したようです。

その点、週半分だけ登校すればいいとなれば、丸々学校というシステムにハマるでもなく勉強もできます。

また、息子は元々、学校と同じくらいの分量で、しっかり働いてみたいという希望も持っていました。息子の趣味はお金のかかることばかりで、十分に趣味を謳歌するためにお金が必要だったからです。

そのため今通っている高校はまさに、勉強と労働を両方叶えてくれる良い選択だったといえます。今の学校を選んだのは、我が息子ながらあっぱれです。

無理に学校へ行かせなくていい 〜不登校を脱出した息子と私の記録〜(ICE(インプレス))
本書は小学校5年生から中学校3年生まで不登校だった息子が、そしてその母親が、親子二人三脚で不登校を”脱出”するまでの軌跡を描いています。子どもの不登校に悩むすべてのご家庭に役立つ考え方のいろはが詰まった一冊です。