「ダメ!」と言わずに子どもを導こう

高取しづか
2023.05.29 17:30 2023.06.02 19:00

親を見上げる子ども

命令口調で言われると反発したくなるのが子ども。会話の中から「否定形」「命令形」を減らすよう意識してみませんか?

※本稿は、高取しづか著『子どもが本当に待っているお母さんのほめ言葉』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

高取しづか
NPO法人JAMネットワーク代表・「ことばキャンプ」主宰。消費者問題・子育て雑誌の記者として活躍後、1998年渡米。アメリカで出会った仲間や日本の友人とJAMネットワークを立ち上げた。「子どもの自立トレーニング」をテーマに新聞・雑誌・本の執筆や、各地で講演活動を行なっている。神奈川県の子育て支援の委員をつとめ、子育てや教育の現場で支援にあたっている。著書に、『「ことば力」のある子は必ず伸びる!』(青春出版社)『イラスト版気持ちの伝え方コミュニケーションに自信がつく44のトレーニング』(合同出版)他多数。

子どものころを思い出した「突然の命令口調」

大型スーパーで買い物をしていたときのことです。大きなカートが思うように動かず、うまく歩けません。すると、突然後ろから、「じゃまなんだよ! どけ!!」と怒鳴られました。突然の命令口調に驚いて、反射的に「ごめんなさい」と言って通路の端に寄りました。

こんなふうに一方的に怒鳴られたのは本当に久しぶりです。その方は急いでいたのかもしれませんが、何とも言えないいやな気持ちになりました。そして、モヤモヤとしたマイナスの感情がしばらく続きました。

「叱られるときって、こんな気持ちだったな……」とあらためて子どものころを思い出しました。

一方的に叱られる子どもの気持ち

子どもとの日々の会話をちょっと思い返してみてください。
あなたは子どもに注意するとき、

「○○しちやダメ!」
「○○しなさい!」

などと一方的に、否定形、命令形で話していませんか? 頭ごなしに叱られる子どもの気持ちを想像してみてください。

もちろん、してはいけないことを教えていくこと、いわゆるしつけは親として当然のこと。勉強の習慣をつけることも将来のために必要でしょう。

でも、命令口調で言われると、よけいに反発したくなるのが子ども。たとえうわべは黙って聞いていても、心の中にマイナスの感情がたまっていきます。

親もイライラして、ますますきつい言葉になってしまう。でも、こんな悪循環に悩まされるお母さんはあなただけではありません。ちょっとした言い方の工夫で、そんな悪循環を断ち切りましょう。会話の中から「否定形」「命令形」を減らすよう意識してみませんか?

子どもと同じ目線で声をかけよう

嫌がる子

もう出かけなければならないのに、なかなかしたくができない。そんなとき、イライラしてつい「早くしなさい!」と怒鳴ってしまう……。 だけど、「早くしなさい!」と怖い声で言われると、子どもは焦ってしまい、もっとしたくに手間取るかもしれません。

「○○しなさい」は上から目線の言葉。子どもと同じ目線に立って、「〇〇しようか」と言い換えてみましょう。 「そろそろ出かけないと遅れるから、もうちょっと急ごうか」 というように。子どもも笑顔で「うん!」と答えてくれるはずです。

Good例:「これをしたら〇〇できるよ」

お片づけなど、子どもにとってはあまり楽しくないことをしているときに、もたもたとなかなか進まない、というときは、「これをしたら(あとで)○○できるよ」と、言ってみます。

目の前のニンジンではありませんが、この先に楽しいことがある、と示すことで、「じゃあがんばってみょうがな」と子どものやる気を引き出すのです。

Good例:「ダメ」ではなく「どうしたらいいと思う?」

頭ごなしに「ダメ!」「しなさい!」ばかり言われていると、子どもは自分で考えなくなります。ただ、「お母さんが怖いから、言うことを聞いておこう」と思うだけで、なぜそうしなければならないかが、いつまでたってもわかりません。

子どもが小さいうちは通用しますが、子どもが大きくなって、お母さんのことなんか怖くなくなったときには、頭ごなしにいくら怒鳴っても、子どもは言うことを聞かなくなります。

子どもに何かをさせたいときは、なぜそうするべきなのか、子どもが自ら考え、納得して、自ら行動を起こすように導きたいものです。

子どもが本当に待っているお母さんのほめ言葉

子どもが本当に待っているお母さんのほめ言葉(PHP研究所)
あなたのほめ言葉は本当に子どもに伝わっていますか? 子どものやる気をくじくNGワード等を具体例でわかりやすく解説します。簡単にできる言い換えワークや対処法も紹介しています。