恋愛小説やマンガはOK? 「子どもの語彙力」を伸ばす本との付き合い方
多種多様な文字にたくさん触れることを優先する
――新刊では「テレビの前に図鑑や地図帳を」といった提案がありました。
それは小さい子のいる家庭には強くおすすめしたいです。
動植物や宇宙といった自然科学のシリーズ図鑑のほか、クルマや飛行機なんかの大型本、ビジュアル版の歴史ガイドなど、リビングですぐ出せるようにしておいて、子どもの疑問・質問に答えてあげるといいですよ。
するとそのうち、自分で興味のあるページをめくるようになります。児童向けの文学全集や歴史学習マンガなんかとちがって、どこからでも読めるのがいいのです。
何を探すでもなく暇つぶしにパラパラめくって、「おや?」と思ったページで手を止める。このようなざっと読み(ブラウジング)が、ちゃんと読むこと(リーディング)の基礎になります。
あとは「ためになる」「役に立つ」だけじゃなくて、子どもがなるべく多種多様な文章にたくさん触れることを優先して選ぶといいんじゃないかなと思います。
――どういうことでしょう?
ジャンルや内容はどうでもいい、ということです。たとえば「アイドル雑誌は学業のプラスにならないからダメ」「マンガじゃなくて本を読みなさい」「過激な恋愛小説にハマるのは避けてほしいな」と思う親は多いでしょうけど、私は好きなだけ読ませてやればいいと思います。文字に触れる頻度と回数がアップするなら、題材は目をつぶりましょう。
――繰り返し語っている「言葉を扱う力」を伸ばす、という観点でしょうか。
そうです。「言葉を扱う力」をつけるには、まず読むこと。たくさんのテキストに身をさらすことが大切なのです。そりゃあ、親としては、将来的に役に立つコンテンツや名著を読んでほしいと思うのかもしれません。
けれども、どんなキワモノ・ゲテモノ、ムダ知識であっても「何も読まないよりはるかにマシ」と捉えればいいんじゃないかな、と。
あと、ネット動画は「ノンバーバル(非言語)」なものが増えているので注意したほうがいいでしょう。アニメやお笑いといったのようなものなら、多少は言葉に触れていると言えます。
しかしYoutubeですごいダンスや歌を鑑賞したり、ショート動画でかわいいペットの仕草を見ていても「言葉を扱う力」はつきません。
マンガやアニメでも絵や動きを楽しむだけでなく、キャラが自らの考えを述べたり、議論を交わしたりしているような作品がいいですね。
うちの娘は『かぐや様は告らせたい』を愛読しています。私が小学生の頃は『こち亀』を読んでいました。「言葉を扱う力」を養うには会話が主体のギャグマンガのほうがいいのかもしれません。
スマホとの付き合い方は…
――最後に、スマホとの付き合い方についてはいかがでしょうか?
スマホと戦っても勝てません、と。これは強調しておきたいです。シリコンバレーの超優秀な頭脳が「いかに人の関心を奪うか」にしのぎを削って生み出したプロダクトですから。
よって「スマホを触らないようにしよう」なんて無理な話です。どうにかして「触れられないようにする」しかない。
“スマホ漬け”に危機感があるなら、たとえば家の中ではスマホは箱に入れてしまっておきましょう。物理的に封じ込めれば無制限に関心が奪われることはありません。子どものスマホ中毒を防ぐ第一歩は、親がスマホ依存をやめることではないでしょうか。
スマホの代わりに家族との会話と食事を楽しんで、さっさと寝ましょう。睡眠不足や体調不良では、「ちゃんと読む」ことはできませんから。
ちゃんと「読む」ための本 人生がうまくいく231の知的習慣(PHP研究所)
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