男の子の才能をぐんと伸ばすコツ…手助けは「半分」がちょうどいい理由
手のかかる男の子を育てていると、親はついあれこれと手助けをしたくなるもの。しかし、お世話のし過ぎは子どもの経験の場を奪ってしまうことに繋がります。 成長を邪魔しない手助けのコツを、モンテッソーリ育児アドバイザーの神成美輝さんに解説いただきました。
※ 本稿は、神成美輝著『モンテッソーリ流「才能がぐんぐん伸びる男の子」の育て方』(日本実業出版社)より、一部抜粋・編集したものです。
(著者)神成美輝(かんなり みき)
モンテッソーリ育児アドバイザー。保育士、幼稚園教諭2種。
(監修者)百枝義雄(ももえだ よしお)
吉祥寺こどもの家園長。モンテッソーリ・ラ・パーチェ トレーニングコース代表。
手伝いたくても、ぐっと我慢する
保育園の園長時代から、男の子ママに「半分にしてください」と伝えていることがあります。それは何だと思われますか? それは「手助けの数」です。
同じママでも、男の子と女の子では、手のかけ方が違うのをよく目にします。女の子には自分で着替えさせていたのに、男の子には手取り足取りしながら着替えを手助 けしてしまうのです。
もちろん、異性である男の子が「かわいい」というのもあるでしょう。ママが息子を放っておけないのは、パパが娘を放っておけないのと同じですから、仕方ありません。とはいえ、やはり手助けのしすぎは禁物です。
それはなぜでしょうか?
トシキ君は保育園では、チャキチャキと物事をこなすのですが、ママの前ではまったく違う子のようでした。コートを着せてもらう、園のバッグを背負わせてもらう、靴を履かせてもらう……といったように、何でもママまかせ。
ママと話をすると「うちの子は、まだまだ何もできなくて」といいます。私が「園ではできていますよ」とお伝えすると、とても驚いた様子でした。ママはずっと、できないと思い込んでいたのです。
トシキ君のように、基本的に「できている」場合はまだいいのですが、「できていない」子の場合は問題です。なぜなら、洋服を着たり、靴を履いたりする練習の機会を、ことごとく奪われてしまうことになるからです。これでは本当にいつまでたっても、自分でできるようにはなりません。
手助けを半分にするというのは、全体的な量を減らすことでもいいですし、例えば「ペットボトルを開けて」といわれたら、緩めるところまでして子どもに戻す、「靴下がはけない」といわれたら、つま先までかぶせるなどでもいいでしょう。質問をされたときには、答えをいうのではなく、ヒントだけにするということも。
つまりは、自分でできる余地、考える余地を残しておくということです。
「待つこと」が手をかけることより大切
敏感期の子どもには、親にはわからない「決まった順序」や「いつもの習慣」がありますから、靴ひとつ履くにしても時間がかかります。必ず右足からと決めている子もいれば、「立って履く」「手を使わずに履く」など、履き方にこだわっていることもあります。
こういった子どもの中にある敏感期ならではのこだわりは、子どもが成長する種です。私たちはいつのまにか靴をさっと履けるようになったので、すっかり忘れてしまっているのですが、子どもの頃には色々と創意工夫を重ねていたのです。
子どもの行動を待たずに、パッと靴を履かせてしまうことは、その創意工夫の時間を奪うことになってしまいます。場合によっては、秩序を破られたことで、怒ったり泣いたりすることもあるでしょう。
これまでたくさんのママやパパを身近で見ていますから、皆さんが本当にお忙しいのはとてもよくわかります。その1分、2分が惜しい、ということもあるでしょう。出勤時間が決まっているなど、時間の余裕がないことなどしょっちゅうのはずです。
そうわかったうえでも、やはり、できるだけ子どもの行動を待ち、自分でさせたほうがいいのです。ここで待つことができれば、後がずっと楽になります。
お子さんの靴をいつまでも履かせているよりも、できるだけ早い段階で、自分でさっと靴を履けるようになってくれたほうがいいですよね。
待つことは、親にとっては手をかける以上に忍耐のいることです。それでも、私たちは待ったほうがいいのです。そのような時間の余裕の中で、お子さんは自分の中の順序や習慣を確立することができます。そして、自分で身の回りのことができる能力と創意工夫する能力を、同時に身につけていくのです。
男児のなぜ? どうして? がスッキリ!! モンテッソーリ流「才能がぐんぐん伸びる男の子」の育て方(日本実業出版社)
ママにとって、男の子は謎の存在です。落ち着きはないし、いうことを聞かない!変なこだわりは女の子以上!そんな男の子の「なぜ?」を“モンテッソーリ流男の子の育て方”で、読み解きます。